11月に公開予定の映画『真・女立喰列伝』。これは5人の監督によるオムニバス映画である。そのうちの二人であり、師弟関係にもある押井守、神山健治の両監督に、アニメーションの演出と実写映画の演出の違い、そしてそれぞれの魅力を語っていただく
押井監督は、またへんな映画を撮ってしまったようです。

左は、付き合わされている攻殻SACの神山健治監督(笑)
さて、11月公開の「真・女立喰師列伝」のプロモーション企画です・・・が、そもそも前作の「立喰師列伝」がヒットしたわけでもなく、なんで続編なんでしょう。
どうも、オマケで兵頭まこさんで取った「ケツネコロッケのお銀」を自分で気に入ってしまったらしく、「今度は女優さんで取りたいなー」と考えたんだそうです。女優を見せる映画で撮りたいと。でも、それならパタパタアニメじゃないだろう。そこまでは、いいとして、お金をどうにかしなければなりません。そこで、ジェネオンのプロデューサーさんにその人がファンであることを知っていて「ひし美ゆり子で映画撮りたいんだけど」と言ってお金を出させたんだそうです。
さて、撮れることになったはいいものの、押井さんは「スカイ・クロラ」もやってるわけでさすがに実写映画を1本撮っている暇はない。そこで、オムニバスにして、そのうちの1本をやり、残りはつき合いのある若手監督に撮ってもらおうということにしたんだそうです。ま、いろいろあって6本のうち、最初と最後の2本を押井さんがやることになったと。
で、指名した若手監督には、「プロットと撮りたい女優をかならずセットで持ってこい」と宿題を出したんだそうです。そして、話題はそれぞれの監督の話へ。
「バーボンのミキ」を撮った辻本貴則監督は、ガンコンという鉄砲が出てくる映画なら何でもいいというガンアクションの映画コンペの常連で、カッコいいガンアクションを撮らせたら日本一らしいです。
湯浅弘章監督は、長らく押井監督の撮影監督をやっていた人で、PIA系の出身。押井さんは湯浅さんの撮影の腕はすごく高く買っているんだそうです。ちなみにこの人、畑を撮るのが大好きなので今回の映画も畑満載だそうです。なんだそりゃ
神谷誠監督は、樋口真嗣監督の助監督をやってた人でなかなか気難しい人なんだそうですが、極度のアイドルマニアで、今回は小倉優子が撮りたくて参加。「クレープのマミ」って、やっぱ「クリーミィマミ」からとってるんだろうなあ・・・。しかし、ゆうこりん、よく出てくれましたね
そして、壇上に一緒に上がっている神山監督は、まあ、説明不要。4人目の枠を誰にするかは結構揉めたんだそうです。アニメ界から一人持ってきたかったそうなんですが、ぶっちゃけた話、森本晃司監督と争ったそうです。でも、押井さんが神山監督に決めたと。さて、そんな神山監督が、経緯について語ります。
神山監督は今は「精霊の守り人」を作っているわけですが「11月にやる」と聞いて、「その頃には暇になっているかな」と思って引き受けたんだそうです。「そしたら、11月公開だった。まあ、よく聞かないで引き受けた僕も悪いけど、ちゃんと言わない押井さんも悪いよな」。そんなわけで、土日の夜をつかって撮影したんだそうです。大変ですなあ。
マジメな神山監督らしく、「自分がやる意味を自分ではっきり持てないと、なかなか監督ってのは出来ないんだけど、前作に『神山店長』という形で出演してて、あの神山店長の話なら撮れるかなと思った」と言ってました。
さて、押井さんが撮った2本ですが、1本目がひし美ゆり子さん。「金魚姫」ってタイトルが宮崎駿監督が今作ってる「アレ」を思い出させるわけですが、「一応、話はしたよ」とのことです(笑)。とにかく、ひし美さんを脱がしたい、特に彫りものをしてる女性が撮りたかったらしく、まあ、そういう話だと。
で、もう一本は「6本もあって、1本ぐらいSFがなくてどうするか」(会場、ここで拍手)ということで、甲冑を着た女の子がモビルスーツに乗って戦闘しながら大気圏突入をやる話だそうです。それのどこが立喰師なのかはさーっぱり判りませんが、予告編は異様に格好良かったなあ。ちなみに、どう見ても地球上には見えない(らしい)ロケ地は大島、コックピットのセットは別の作品のが捨てられていたのを廃品回収。ただし、甲冑(というか、パイロットスーツ?)はばっちり作ったんだそうです。「CG部分は、これはもう日本で3本の指に入ろうかという佐藤ってのが作ってるから、間違いなくすごい。この続きを見たいというプロデューサーが出たら、長編で見られるかもね」だそうですよ。
さて、このパネルのメインのテーマである「アニメと実写の差異」の話になったんですが、押井監督も神山監督も考え方はほとんど変わらないという話でした。ただし、実際の作業となると大きく違うようで、押井監督はアニメは編集作業を自分でやるけど、実写は編集もしないんだそうです。どれだけ手順をはしょれるか、「人の絵で、その日に撮れたもので自分の映画にする」ことが、監督の能力だと。ホントのことを言えばアニメでも、どんどん絵を書かせて、ボツにしまくりで繋いでいければいいかもしれないけど、そんなことをしたらアニメーターが暴動を起こすのでできないと。なので、アニメの場合にはレイアウトチェックを完全にやって、進行度合を完全に押さえてちゃくちゃくと進んでいかなければ作品が完成しない。「アニメと同じ意識で作るってのが、コンテ全部切ってやるってことじゃないからね」とのことでした。
さて、押井さんの今後ですが、アニメと実写と交互でやるのがいいのかなと思っていたそうですが、一度、アニメの制作体制を無くしちゃうと大変なので、アニメはアニメでコンスタントに作り、その合間に実写も撮るそうです。それが出来るような方法論は判ったんだそうで。「(ジブリの)鈴木(プロデューサー)とも約束しちゃったしねー。どんどん作りますよ」だそうです。また、面白いものを作ってくれると良いですなー
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