オクトパストラベラー、いいですよ。楽しんでます。
体験版からこのゲームのことは気になっていました。体験版ではプリムロゼで始めて序盤のストーリーを終え、隣の街まで行こうかなと歩き出したフィールドの地形にハマって抜けられなくなりました。それでプレイを終えたので、「面白そうなんだけど、なんだかな」という印象だったんですが、発売直前に出た体験版であるプロローグではハンイットで始めて、時計回りに3人目の1章を終えたところで3時間の制限時間を迎えました。今度はすごく楽しかった。そんでもって、これを書いている発売後から4日後(7/16に書き始めたのです、この記事)の進行度は、8人分の1章を終えてます。次はトレサの2章に行こうと新たな街を目指したところ、いきなり敵が強くなり大苦戦。レベル上げをしつつ、これぐらいで良かろうとメンバーの全員が推奨レベルになり・・・そうぐらいでボスに行き、あともうちょっとというところで全滅した、というのが最新の状況です。くやしい。
非常に良くできたゲームで、遊んだ人の印象も上々なこのゲーム。感心したのは、遊びやすさです。システム的に非常によく練られていて、ゲーム世界の自然さよりゲームとしての楽しさを優先してデザインされているのが面白い。というのも、ともするとゲーム世界への没入を妨げるような「不自然な」デザインがいくつもしてあるのです。
例えば、フィールドの移動。どこにでも自由にいけるのですが、マップには推奨レベルが表示されています。そのため「どういう順序で遊んで欲しいか」というデザイナの思いはかなりきっぱりとあからさまに示されています。例えば、そのままでは通れない障害を置いて、あるクエストをクリアすれば通過できるようにして、そのクエストの難易度で順路を示すというデザインもあります。むしろ、こっちがオーソドックスなやり方でしょう。
デザイナーのやりたいことはどちらも本質的に同じで、要するにプレイヤーがうっかり難易度がマッチしないエリアに迷い込んで強い敵に瞬殺されてがっかりするという体験を防ぎたい。そのために、ゲーム世界に寄り添ったガイドを置くか、推奨レベルというゲームのシステムにがっちりとつながったものを使うかという選択で、後者を選んでいるわけです。
そのガイドの通りに遊ぶと、8人の1章目を順番に読んでいくことになります。結局、8人全員のストーリーを1章ずつ観るのが推奨されたやり方なのですが、しかし、プレイヤーは誰から始めても良いよ、とされています。ということは、どれも同じような推奨レベルにされているのが普通ですけれども、2人目は1人目より、3人目は2人目より難しくなる。2人で1人目の街に帰るとモンスターは強くなっています。
世界観的に言えばおかしいんだと思うけど、こうなってないとゲームとして面白くない。各キャラの1章をプレイしているる間はずっと難易度が変わらないという作りのゲームも普通にあるでしょう(し、作るのはたぶんそっちが楽でしょう)けど、もちろんあえてこうなっていて、これは自明の選択ではありません。
他にも、話をしなくていいNPCはそうわかるようになっていたり、美しいけどどこがキャラの移動できる範囲なのかわかりにくいマップなので分かれ道がほぼなかったり、ゲーム内の設定は特になしでどこにでもいわゆるルーラが可能だったり。
このようなゲームを遊びやすくするシステムを世界観をなじませて自然にみせることに努力しているゲームというのはたくさんあると思うんですけれども、オクトパストラベラーは「いや、そういうのもういいっしょ。ゲームですよ、これはゲーム」という割り切り感があります。ある種、スマホゲーの時代を通過したことによる割り切りなのかもしれないと感じました。意見は分かれるかもしれませんが、私は好きです。
戦闘システムもよく考えられてますね。ザコ敵は退屈しない程度の作業感で、ボスは1手間違えると手痛いペナルティを食らうシビアな難易度。どっちもボタン連打ではクリアさせないよという意気込みはこのゲームが何を大事にしているかを示しています。この体験を「ブースト」と「ブレイク」の2つのシステムだけで成立させているんだから、お見事。そして、何度も全滅するようなゲームでありながら、いや、それだからこそ、ボス前には道具屋とセーブポイントがお約束のように置かれることにより、ユーザーを不意打ちはしないよという誠実さを感じます。いや、ボス前に道具屋が立ってるのおかしいけどね。それよりもゲーム重視。
敵の弱点を突いてピヨらせて、敵の攻撃回数を少なくしながら戦うシステムは戦略が必要で面白いですし、各キャラが持っている武器がバラバラなのでどのようなパーティ構成を組むかはとても悩ましいです。例えば回復役は8人のうち2人なのでどちらかを入れたいと思いますが、2人の出せる攻撃が全然違うので悩ましい。アイテムはかなり潤沢に手に入るので回復はアイテムを中心にして、回復役を入れない構成も成立させられるのですが・・・とキャラの特徴を考えて構成を組むにはかなり悩まされますが、少々最適じゃなくてもフィールドでの戦闘はどうにかはなるようになってます。いやー、絶妙なバランスです。でも、4人パーティのうち、自分が最初に選んだキャラと、現在進めているシナリオの主人公はパーティから外せないという制限があるので(もちろん、「ストーリーの中断」はできるのですが)、2人だけの入れ替えでやりくりしなくてはならないのが厳しい。ここは3人にして欲しかったと感じるところなんですが、たぶんそれも検討した上のことなんでしょうね。
さて、このゲームのキャッチーな魅力として前面に押し出されているのが、次に話したいグラフィックです。「2D」とか「ドット絵」というところがプッシュされてますが、実は2Dなのはキャラだけのことで、フィールドはすべて3Dで作られています。それにドット絵風のテクスチャがつけられていて、カメラは固定になっているということ。フィールドでキャラを手前から奥に動かす時に手前のオブジェクトの描写のされ方を観察すると良くわかります。パーティクルや水の表現はドット絵風にはなっておらず、ドット絵風の世界とどう組み合わせたら良いか考えた結果、こうしたんだろうと思いますが、一見の価値あり。すごくユニークだし、チャーミングです。これがベストかどうかはさておき、このゲームの一番の特徴になっているし、オリジナリティがあって良いですね。もちろん、見た目をキャッチーにしないといけないということで考えられたモノではあるのですが、一方で「JRPGのプレイヤーは別に3Dフィールドの探索がしたいわけじゃないでしょう。そういうゲームは他にいくらでも面白いゲームがあるし。じゃあ、どういう形で自由を奪えば良い?」というテーマに対する回答でもあり、しかも美しいものができたというのは本当に素晴らしいなと思います。
音楽も頑張ってます。評判いいですよね。各街にすべてテーマソングがあり、戦闘曲もバリエーションがあります。「オクトパストラベラーといえば、この曲」というメインテーマがちょっと弱い気はするんだけど、逆に言えばどの曲も甲乙つけがたい良い曲。早々にサントラが出てますが(そして売り切れてますが)、なかなかサントラが出ない昨今、ゲームと同時発売でサントラを用意してくるところからも気合いが伝わってきますね。
最後に、ストーリーですが、うん、普通。というか、そんなびっくりするような、あるいは感動するようなストーリーがRPGに必要なのかというのは、ありますよね。そもそもストーリーを語る手段としてRPGはそれほど優れた手段ではありません。もちろん、RPGというメディアならではのストーリーの表現というのはあるし、メディアの特出を逆手にとった演出など、いろんな試みがされていて、名作は数多く作られています。しかし、それら名ストーリーのゲームの歴史に連なるよりは「ゲームとしての面白さ」を重視している姿勢が感じられるので、これはあえてこうなっているんだろうと思います。
いや、こんな書き方をするとストーリーは全然ペラペラかと思われちゃうかもしれませんが、結構、がっちりとお話が語られます。Aボタンだけ押しているシーンが長いので、その間はProコンからジョイコンにコントローラを切り替えて、右だけを手にすっぽり収めてゆっくり座って腕組んでストーリーを眺めてます。こういうところはSwitchのいいところです。・・・と、こんな風に最初は切り替えて遊んでいたんですが、結局はほとんどの場合両手にジョイコンを握りこんで、Wiiでいうところの「ヌンチャクスタイル」でプレイしています。スプラトゥーンはこの持ち方だとエイムできないからProコンを使うんですが、スプラからオクトパストラベラーに切り替えて遊び始めるとそのままProコンで遊び始めたりしますが、イベントになると持ち変える・・・という感じです。
というわけで、素晴らしくいいゲームです。「あの頃」はゲームを楽しく遊んでいて、今でも時間ができたら最新のゲームも遊んでみたいなーと思っているオトナ、多いと思います。でも、そういう人が遊びたいRPGは、ローグライクじゃないし、3Dフィールドの箱庭じゃないし、ましてやオープンワールドでもMMOでもないわけです。そうなると、意外と選択肢がない。ゲーム雑誌のジャンルがRPGって書いてあるゲームはたくさんあるんだけど、「ドラクエ4」「クロノトリガー」「グランディア」とその時代時代の最高のRPGを遊んできた俺のゲーム体験史のど真ん中に位置するゲームじゃない。じゃあ、アーカイブスで昔のゲームやってろよって言われちゃうかもしれませんが、それじゃあボーナスが出たからちょっとした気持ちで買ってみた(そう、そんな感じで買えちゃうオトナになったわけですよ)PS4やNintendo Switchがもったいない。「オクトパストラベラー」はそんなあなたのど真ん中であり、かつ、進歩した最先端のゲームとしての「あの頃」のゲーム。これが刺さる人、けっこう多いと思います。
もちろん、リアルなオープンワールドやFPSが時代の最先端であり、今のマシンの進化をストレートに反映する「選ばれた」ジャンルであることは間違いないし、ゲームの進化を語る上でそれらのジャンルや、MMOをやらないわけにはいきません。それはそうなんですが、PS4やSwitchを買って、それらの超カッチョイイ見た目のゲームをとりあえずで買って(そう。買えちゃいますよね)やってみて、「すげーなー。いやー、おじさんはもうついて行けないわ」と思ったあなた。あなたのためのゲームです。そういう意味では「ドラクエXI」もそういうゲームでしたね。あっちがエニックスの「これぞRPG」なら、こっちはスクエアの「これぞRPG」。ぜひ、楽しんでください。
・・・という文章を1週間かけてちまちま書いていたので(書き始めたのは先週の月曜日でした)、今はトレサとプリムロゼの2章を終えました。2章はぐんと難易度が上がるのでこの1週間はかなりレベル上げをしてる時間が長かったかな。まあ、場所中だったので相撲を観ながらプレイしてたってのもあるんだけど。で、ジョブシステムの奥深さに気づいたところ。気づくまでかなりジョブポイントを浪費しちゃった(笑)。まだまだ楽しめそうで、うれしい悲鳴です。お盆明けまでには終わりたいなあ。他のことができないよ!。
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