あそびのかんけい/葵せきな
随分と前から買ってはあったんですが、ずっとほったらかして積んでました。コロナ以来、出張どころか出社もしていないわけですが、ここしばらく珍しく新幹線で移動する機会があり。まあ、忙しいんで仕事してもいいんですけど、忙しいんで疲れてたわけ。で、移動中はウトウトしながらでなんか軽いものを読みたいなと。ここ最近はずいぶんラノベも読んでないんですが、久しぶりにこう、私が思うところの「ラノベらしいラノベ」ってやつを読みましたね。「あそびのかんけい」ってタイトルも、今風じゃなくていいじゃないですか。こういうのよ、こういうの。
「生徒会の一存」で有名な葵せきなさんの最新作で、まだ2巻までしか出ていない段階。もうすぐ・・・来月かな、3巻が出ようとしています。葵せきなさんといえば、美少女漫才といいますか、キャラのどっちがボケ、どっちがツッコミになるか自由な勢いで笑える会話をバンバン繰り返していくすごく面白い軽妙な書きっぷりと、その裏に対照的に非常に重たい設定を入れてくるというのが作風です。「生徒会の一存」ではそれがすごく違和感があり、それを気に入らない人もいるだろうし、むしろそれが変わった読み味として成立してるよねと評価する人もいるだろうという感じだと思っているんですが、なんにしろすごく楽しくいいペースで読めてしまうのは間違いない、そういう不思議な作家さんですわね。トータルコーディネイトが謎だけど、文体も構成もストーリーテリングも、そして漫才も魅力的という。
で、今作も主人公のひきこもり設定にむやみに重い設定があり(ああ、葵せきなだなあと、懐かしく思うなどw)ますが、それ以上になかなかにトリッキーな構成になっていて、最初は面食らうと思うんです。読み味が叙述トリックのミステリーっぽい(笑)。時系列が入れ替わっているからなんですが、そのようなちょっとテクニカルな構成にすることで、そのいわゆる漫才的な会話と重めの設定部分というものの不整合というか、つながりの悪さ、、違和感みたいな部分が薄まっていて、むしろ読みやすくなってるのが面白いところです。
1巻で「お、変わったことしてきてんな」と思ったら、2巻はもっと「やっとんな」って感じになっていて面白い。作者はあとがきで「この先は普通だから!ミステリーじゃなくてラブコメだから!」って書いてますが、本気なのか、振りなのか(笑)。でも、4人が1人を取り合うハーレムものにしちゃったら、普通のラブコメにしたってトリッキーにならざるを得ない気がするし、振りなんだろうなあ。そんなわけで、「生徒会の一存」も「ゲーマーズ」も好きなんですが、この本はその前2作に比べてもちょっと飛び抜けた上手さが発揮されている小説になっているんじゃないかなと思います。上手い人だなと昔から思っていましたが、いいところがすごく出ているという意味で、これは傑作になるんじゃないか。
まだ2巻しか出てない状態でいうのもなんですが(3巻がすごく楽しみ)、もうちょっと続いたらアニメ化ですよねぇ。これを映像化するとなったらこのトリッキーな部分をどうするのか。でも、なんかいいアイデアはありそうな気がするんだよね。映像化するならイジってナンボな原作という意味で、その辺も期待したいところです。


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