万博に行った(6/24,25)
もう1ヶ月前の話になりつつあるんですが、大阪万博に行ってきました。
まず、結論から言うと、万博は見事なものでした。このイベントをトータルコントロールした皆さんには最大限の賛辞を。海外からのお客さんが満足できるのかはわからんのですが、日本人なら誰しもがこの祝祭の感覚を共有できるのではないかと思います。個人的には大満足です。
ただし、「万博に行ったよ!」と言うと誰しもが「どのパビリオンに行きました?」って聞いて来ますが、なーんにも観ていません。ただ会場内を練り歩いていただけです。なので、例えば「6時間滞在していたうち、1つ予約したパビリオンを観て、90分待ちのパビリオン2つに並んで、あとちょっと大屋根の上に登ってきた」・・・というのがわりと典型的な万博ツアーの在り方じゃないかと想像しますけど、そういう体験は一切してません。だから、だいぶ偏った感想ではあるんでしょう。あと、子供連れや友達数人とワイワイとかならまた感想が違うと思います。
しかし、そういうことをとりあえず置いておいて、あそこに凄まじくデカいにもかかわらずいい感じに囲まれた感覚がある一体感が感じられるイベントが成立していて、その場の人がそれをちゃんと共有できている雰囲気があったのは確かで、それを作り出すのはめちゃくちゃ難しいことです。だって、音楽フェスやスポーツイベントなら来場者全員が共通して体験できることが前提にあるわけですが、基本、そういうものはないなかで、みんなが「万博に来たなあ。万博って総体としてこんな感じだったなあ。みんなそれなりに楽しそうだったなあ」って思えるって凄いことですよ。
昔の大阪万博ならそもそもこんな課題はなかったわけです。そもそも博覧会というより、このような大規模イベント自体が始めてで、「外人さんが歩いてる」「めっちゃ並ばされた」みたいなこと自体が体験したコンテンツとして成立しました。どのパビリオンで並んでいても、そもそもそんなみんながあちこちで一斉に並んでるということが珍しいので、それが共通体験として刻まれました。
しかし、今やディズニーランドもUSJもある世界です。ただ大規模な会場に様々なコンテンツがあるだけで一体感のある体験が出来るかというのはとても難しい。じゃあ、ディズニーランドはどうしているのかというと、そもそも全体を統一するディズニーの世界のコンセプトがあり、共通したデザインコンセプトがあり、みんなが同じミッキーの耳のかぶり物をしていることによる体験のコントロールが出来ているわけです。そして、シンデレラ城が建っていてみんなが1度はあれをみるということが大事。そういう体験をもう日本人はだいたいしちゃってます。比べられちゃうわけです。
しかし、そもそも万博はそういうトータルコーディネートが難しいです。各国が好きなようにパビリオンを作るのが万博ですからね。そして、シンデレラ城や太陽の塔のようなランドマークを作ってしまうと、そこに人が集まりすぎてしまうというのも課題です。これはかなりの難問です。
そこで、大屋根リングなわけです。
まず、大屋根リング自体が凄いです。近くで見ると圧倒されます。単純なものですが、それだけにこんなもの見たことありません。誰が観てもどうやって成立しているかわかりますが、誰が観てもちゃんと成立させるのが並大抵のことじゃないこともわかります。適当に作れるようなシロモノではない。古代に今はなき高さ50m級の出雲大社を見た人の気持ちが、ちょっとわかります。
さらに、リングなのが凄い。つまり、会場内でどこにいても見渡せば視界にリングが入ります。ここが万博会場であることがすぐ認識出来ます。こいつが無理矢理に世界観の統一を果たしてくれます。会場内のどこからでも観られる太陽の塔と同じランドマークでありながら、人を分散させる効果もあります。
3つ目の凄い点。これのおかげでどこからどこまでが万博か認識出来ます。もちろん、万博会場と大屋根リングは一致しているわけではなく、リングの外にも会場が広がってはいます。でも、そういうことは置いておいて、リングがあるおかげで視覚的に万博自体を一体のものとして捉えられます。これぐらい広いと、そもそも広い会場の一部にいたのでは全体のどのぐらいを視界に収めているのかわからなくなって、そもそも広いのかどうかもわからなくなってきます。都市の目抜き通りなんかはこういう全体感の把握をさせてくれるもので、それがないとそもそも広さが実感できないわけですが、リングのおかげで万博の規模がちゃんと理解出来るわけです。
4つ目。大屋根リングは万博の境界であり、把握を助けてくれるものですが、壁ではありません。範囲を認識したければ例えば壁で覆ってしまえばいいわけですが、大屋根リングは地面の高さではスッカスカなので圧迫感がありません。これは本当に優れてる。
5つ目。当然ですが、夏の屋外イベントです。ゲリラ豪雨のような夕立が何度も起きるでしょう。日差しは観客をじりじり焦げ付かせるでしょう。大勢が避難できる場所として、大屋根リングは大活用されることでしょう。
そして、最後。今回感じた万博の最大の魅力は建築でした。そのパビリオンを大屋根リングは高いところから、かなりの近さでみることができます。これは本当に素晴らしい。
実際問題、パビリオンの中で観られるものに関しては、観てないでいうのは何ですが私が心から「これは凄い」と体感できるものはないと思ってます。河森さんにも、宮田さんにも、石黒さんにも申し訳ないけども、プラネタリウムや4DXの映画、生身の人間のお芝居、科博の企画展に勝てるのかと言われると、すごい難しいと思います。しかも、そこで表現してるものがアートであったり、社会科学習みたいなものであったりするならなおさらです。対象年齢もバラバラだし。そりゃムズいって。実は、ガンダムだけは当日予約のやり方がわかりやすかったので観られたのですが、うん、正直、昔の富士急ハイランドの「ガンダム・ザ・ライド」から大きく変わっているかというと難しいです。ディスプレイははるかに大型にできるようになりましたし、CGのクオリティも上がってますけど、体験の本質が変わってない。で、ガンダム・ザ・ライドが出来たのはギリ20世紀だからね。
でも、特に各国パビリオンの建築は本当に見事でした。どこも甲乙付けがたい。圧倒されました。全部この目で見たかったので、早々にどこかに並ぶのは諦めました。この会場で、1カ所に留まって1時間経つなんて耐えられない。ただひたすら外から眺めて、そして大屋根に上がってまた眺めました。最高だったなあ。アゼルバイジャンの格子も凄かった。中国の竹簡デザインも凄かった。韓国の巨大ディスプレイの映像も端的にカッコよかった。ライトアップされたトルクメニスタンの美しさは優雅そのものでした。タイのミラーを使って巨大な屋根を疑似的に作り出しているのも素晴らしかった。挙げていけば、本当にきりがないです。
私はこの大阪万博は、作り手の顔が見えないことを本当に心配していました。これだけの大規模イベントを一体感持ってやるためにはかなりの統率力が必要で、それが感じられないのはどういうことなのよと。だって、まあ、今、大阪で万博やる意義があるかって言ったら、ないと思うんですよ。これだけ褒めましたけど、それに関しては行って帰って来た後も変わりません。どうせやるんならいいイベントが出来てよかったなとは思うけども、別にやんなくてもよかったよ(笑)。
そういえば、そう思っていた中で1年以上前、東浩紀さんが大屋根リングの設計者、藤本壮介さんを呼んで話を聞いたイベントを視聴しました。
これを観たときにその不安感は高まりましたが(笑)、藤本さんが何かやりたいことがあって、かつ、複雑な状況(それこそなんだか誰がリードしてんだがよくわかんないみたいな)に対してすごくプロフェッショナルな対応をして、その狭間でものをつくるということをしているんだということは感じました。それに対して、山本さんは「いや、お前は中の人なんだから状況をちゃんとすることまで含めてプロデューサーだろ」って厳しいことを言う。でも、それも1つの戦い方だけどもそんなこと知らねえよ、税金の仕事だからって俺がみんなにとっていいと思うものを作るのは変わらねえだろ(とは藤本さんはちゃんとしたオトナだから直接的には言わないんだけども、まあ、それは伝わる)というのが、本当に偉いと思います。大屋根リングは本当に凄いし、これ無しに会場デザインはあり得ないわけだから、藤本さんは偉業を成し遂げたと思うし、藤本さんにこれをちゃんと作らせたマネージメントも立派。いや、びっくりですよ。無理だと思ってた。
まあ、タダ券もらっていったわけだし、ちょっと変わった楽しみ方をしたのは間違いないんですけども、イベントごとだからね。行って体感して損はないと思います。オススメです。行ってお祭りの雰囲気を目一杯吸い込めば十分だと思います。みなさん、ぜひどうぞ。
あ、注意点。日傘、日焼け止め必須です。なんなら、フード被ってもいいぐらい。飲み物、休憩スペースはわりにあります。食べ物はすぐ食べられるメッチャ高いしょうもないものとすげー並ばないと食べられないメッチャ高いまともなものの2種類しかないというわりと絶望的な感じなので、お弁当持っていっていいと思います。




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