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キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド

2月に「ベルばら」を観に行った時にはすでに公開になっていたMCU最新作。まあ・・・観ないという選択肢はないんでしょうな。

そうこうしてたら公開1ヶ月が経ってしまい、近場での上映はレイトショーのみ。それも字幕だけになってしまいました。MCUは吹き替えで観る派なので、「もうディズニー+でいいかな・・・」とか思ってましたが、先週の土曜日にぱぱっと観てきました。晩ご飯食べてからタクシーで5分で劇場にいって終わったらもう23時過ぎ。でも、そんな時間にぷらぷら歩いて帰ってきても凍えることはなくなりました。春ですねぇ・・・

・・・とお茶を濁したくなるぐらい、語りどころの難しい映画です。

というのも、「エンドゲーム」でサムが盾を受け継いで、それをどう引き受けていくかという話はもうドラマの「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」でやっちゃってるし、ハリソン・フォードがレッドハルクになるってのも知ってるし。ラストのバトルも一番いいところは予告編で10回ぐらい観たし。何を話せと。

逆にね、今回はハルクの話で、実は「インクレディブル・ハルク」の続編といって差し支えない話っぽい。というのも、観てないからなあ、「ハルク」。だって、みんな観なくて大丈夫っていうんだもん(笑)。「エターナルズ」の伏線も入ってくるらしいんだよなあ。でも、観てないんだよなあ。だって、みんな(以下略)。何を話せと。

とはいえ

キャラクターと役者さんはとても素晴らしいので、映画を観てる間はぜんぜん退屈しませんでした。お話はもう、どうでもいい感あるんだけども(笑)、お師匠さんと相棒と適役と適役のおつきの人とツンデレちゃんが全部いい感じに頑張ってたら、もう2時間ぐらいは十分楽しい。問題は、この映画が始まる前と始まった後で仇役はともかく、主人公側になんの変化も成長もないことなんだけども、でも宇多丸さんがアトロクのムービーウォッチメンで言ってたとおり、とっちらかけてるエンドゲーム後のMCUをなんとか上手く進めていこうということを担わされてる一作だとしたら、サム達は「今日もキャプテン・アメリカが、世界を救ったよ」という1話完結ものの1話をやることが仕事で、その隙にいろんなものを取り混ぜてシリーズとしての方向性を出した一作なのかもしれない。物語は進んでないけど、後から見たらそういう評価になるのかもね。

それはともかく、今後の物語のキーは出てきたよね。新しいアベンジャーズを結成しなきゃいけなくて、そこには別のユニバースのヒーローが絡んでいく(さんざっぱら、マルチバースやったのはそっちに行きたいんだよね)。そして、「エターナルズ」の遺産はこの世界のヴィブラニウムを持つ特権を毀損するんだよっというのも物語の鍵だと。ぶっちゃけ、今のキャプテン・アメリカが主人公でありうるのは、ヴィブラニウムの盾と翼があってこそなので、それがなくなったときに新しいアベンジャーズは何に依って立つのだろうかというのがテーマになってくるよーという予告はちゃんと出来たんじゃないかしらん?

あ、あとですね。この映画の中で、日本がアメリカ相手にケンカ売るわけですけど、日本人的には「そんなわけなくね?もし、アメリカの大統領が慌てて飛んできて頼むわーって行ってくれたら、なんでもよっしゃーって言っちゃう奴隷根性の国ですけど、我が国って」と思ってる気がします(笑)。しますが、純粋に2025年の戦力で言えば、日本は空母2艦と艦載機があるわけですから、いずもと搭載したF-35Bでインド洋に行くことは出来なくもない。純粋な戦力的には、そういうことが出来るよねということは作り手もわかっていて、かつ中国でもこの映画を公開したいからわざわざ日本を仮想敵国にしているわけです。この設定で日本人が「買いかぶられとんなあ」と思うのはさておき、怒ったり不買運動が起きたりはしないだろうということはわかってると。

ただ、これインド洋で海上自衛隊の軽空母護衛艦の艦隊と、第七艦隊の第五空母打撃群がぶつかるんですが、アメリカはともかく日本側ってアメリカのネットワーク支援なしに運用出来るのかなという心配はちょっとある(笑)。普段、めっちゃ一緒に行動してるだろうしなあ。そもそも、日本のF-35Bってアメリカの艦にミサイル撃てるのかしら?いざ引き金を引いたらタマでなかったりするかも?(爆)

でも、いつのまにやら日本の海上戦力も、インド洋まで出張っていてアメリカとドンパチをやれなくもないというところまできてるよねと外から見られてるんだなというのも、気づきですね。この映画みたらみんなそう思うし、日本の総理大臣があれぐらいのことをいうのも違和感はないのかもしれない。うーむ。

てな感じで、レイトショーで1500円で観たこともあって、別に不満もない、いい感じのMCUでした。スターウォーズのシークェル・トリロジーに比べれば、ぜんぜん面白かったし(笑)。

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八重洲のタイ料理屋で、タイの焼酎モンシャムを飲んだ

ちょっとした酒席を開く場所を探していて、八重洲の鉄鋼ビル(建築中にブラタモリで外堀の石垣が紹介されたところ)のタイ料理屋を偵察に行きました。

きれいだし、お皿格好いいし、美味しいし、店員さん素敵だし、(比較的)安いし、よかったー。贔屓にしよ。サイアムセラドン東京、おすすめ。

タイ料理屋に行くとついビールを頼んでしまうんだけども(チャーンが好きです)、今回はチャーンの後に、タイの焼酎を飲みました。以前、豊洲のDDSK サイゴンキッチンにいったときに、ネップモイというベトナムの焼酎を飲んだんですが、ちょっと甘い香りがして美味しいなと思ったんですよね

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なので、今度はタイの焼酎を飲んでみようと。モンシャムというらしい。これを水割りで頼んでみました。

無色透明で、味もあんまり明確には感じない。で、タイ米の香りがするんですよ。これがねー、素晴らしい。タイ米の香りって米についているより酒についている方が何倍もあってるんじゃないだろうか。すごく澄み切ったスーパークリアな風味。蒸留酒とはいえ、どんなお酒にも独特のクセというものがあるじゃないですか。もちろん、それが何にもないとつまらないんですけど、仮に何も味も香りも付けていないエタノール水溶液を飲んだとしても、アルコールからくるクセがありますよね。なんなら、ミネラルウォーターにだって風味はあります。

それが、モンシャムの水割りからはアルコール感もほとんど感じないし、他のクセはまったく感じない。ただただふわっとクリアにタイ米の香りがするんです。いや、これはなんか凄いよ。こんなお酒があり得るんだ・・・。めちゃめちゃ美味しいじゃん。そのかわり、マリアージュとかいう概念はゼロのような気がしますけど(笑)、これは美味しいなあ。

というわけで、お店の前で撮影してきたのがこの瓶。このモンシャムを飲んだっぽい。そして、Amazonで売ってたから、速攻で買いました。

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この感動をブログに残しておくベ・・・と、今、書きながらちょっと調べてみたら、このモンシャムは泡盛のルーツの1つだそうで、アユタヤ王朝の頃に琉球に伝わったそうです。で、さらに驚いたことに、泡盛ってタイ米で作るんだって。米のお酒だってことは知ってたけど、タイ米で作ってるとはしらなんだ。なるほど、泡盛が好きな私がモンシャムを好きなのは道理です。

というわけで、皆さんもモンシャムおすすめ

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コード・ブッダ/円城塔

買うは買うものの、なかなか通読できない円城塔。今作はこれでビブリオバトルに参戦(ちなみにテーマは「AI」でした)したこともあって、久しぶりに読み終わりました。

円城塔は理学ホラ話を書いているときが一番面白いと思うんですが、あんまり他人には勧めにくい感じはありますね。なんというか、仲間うちでわかるネタで盛り上がる面白さみたいなのはね・・・似たような感じでいえば、最近、好きなのはヨビノリさんの「理系過ぎるフリップネタ」ですけど、勧めにくいよね(笑)。まあ、物理系の人しかわかんない。

しかし、今回はAIネタ・・・というか、プログラミングネタなので、ウチの業界の人ならばっちり。これは紹介しやすい・・・ように見えて、プログラミングネタを使った仏教史のパロディだからね。プログラミングと仏教の両方の興味があってネタに付いてこられる人がどのぐらいいるのかは私にはわかりません。まあ、コテンラジオの「最長・空海」編でも、仏教はコンピュータの概念に似てるって話をしていたし、これら2つの組み合わせは特にすごい発見でもないかも?一般性はあるのかしら・・・でも、これ「文學界」に連載してたんですよね・・・?。もうなんもわからんな。「文學界」を買ってこの連載を楽しみに読んでた人がどういう人なのかさっぱりわからん。

いや、私が楽しんでるいるから、いるんでしょう。それなりには。私のようにヨビノリとコテンラジオを両方チャンネル登録している方向き・・・まあ、そういう感じです。

しかし、書き出しの

東京の2021年、そのオリンピックの年、名もなきコードがブッダを名乗った。自らを生命体であると位置づけ、この世の苦しみとその原因を説き、苦しみを脱する方法を語り始めた。

から文章にパワーがありすぎる。

ソフトウェアがコピーされることを「輪廻」に例えたり、DRY原則(Don't Repeat Yourself: コードのあちこちで同じ事をしないようにしようというプログラミング作法)を「解脱」と捉えたり、Zen of Python(Pythonという言語でプログラムを書くときの心構えみたいな文書)があるからPythonを禅宗になぞらえたり、DARPA(アメリカの国防高等研究計画局。インターネットの生まれ故郷)の量子コンピュータが悟って「DARMA(達磨)」を名乗ったり(ダジャレ!)、密教は神秘主義だからアセンブラでコード書くよと言ってみたり、まあ、仏教のいろんな要素をプログラミングのネタでパロディします。

こういう、もうクスクス笑うしかない要素だらけで構成されてるわけですが、一番気に入ったのブッダ・チャットボットと弟子の舎利子(シャーリプトラ)のやり取り。「どんなプログラムでも悟れるのか」と問う舎利子に、ブッダはその通りだという。「三目並べでもか」と問うと、その通りだという。「しかし、三目並べには取れる状態が簡単に数え上げられる数しかないが、悟りはある状態なのか」と問うと、その通りだと。「じゃあ、いつか必ず悟れるのか」というと、ブッダは「その状態にたどり着くアルゴリズムがあるとは限らない」という。それに対して、舎利子が

「それはバグってるってことなのでは?」

ここで大声出して笑っちゃった。いやー、伝わるのか。この笑いはこの書き方で伝わるのか?無理かな。とにかく、私はとても楽しかった。

ただ、単にネタとしてゲラゲラ読めるというだけでなく、世界の様々な情報を集めてニュース記事を生成するAIが壊れておかしなニュースを生成するようになり、それがさらに発展して(悟って?)、様々なブッダの言行録や経典から互いに矛盾する教えをどんどん生成して、矛盾してるからなんかおかしいんだけど、「これは正しいのか」って聞くとちゃんと出典を明示して「ここに書いてあるから正しい」と答えられるという、今まさに問題になりつつある「AIに質問して返ってきた答えとはなんなのか」を鋭くえぐる話が出てきたり、そもそもAGI(Artificial General Intelligence)となりシンギュラリティを越えたAIと、ここでネタになってるブッダ・チャットボットは何が違うのかという話も含めて、笑い事ではないSFらしい示唆もたくさん含まれてます。

さらに、SFらしく最後は外宇宙も巻き込んだ壮大な展開に風呂敷がインフレーションするので、最後まで楽しく読めると思います。ぶっちゃけ、どこをつまんで読んでもいいと言えばいいので、また好きなときに好きなところをパッと開いて気分転換に読みたい、そういう本でした。

 


 

 

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