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遊牧民から見た世界史/杉山 正明

 

スゴ本ブログで取り上げられているのをみて、なんとなく購入。

もの凄く面白かったんですけど、とにかく私がこの本に書かれていること、およびその前提となる知識がまったくないということがそれ以上に衝撃でした。

ウチの高校は文理に分かれるのが3年になってからで、1年では地理、2年では世界史と日本史を全員が勉強します。もちろん、どれも1年では履修範囲は終わらないので、3年になって受験に必要なものを選択して残りを勉強すると。そういう仕組みになっているために、歴史は1年しかやらない生徒が古代から中世やって終わってしまうのもどうなんだということで、日本史は幕末から、世界史は大航海時代から始まります。世界史のノートの1ページ目にトルデシリャス条約が出てくるんだな。いや、私も良く覚えてるよね、そんなこと。

大航海時代以降、各地域の歴史ではなく「世界史」という面で捉えると、中心はオランダ、スペイン、ポルトガル、イギリス、アメリカ・・・と移ろって現代へ続いていきます。「実社会で役に立つ」という意味では、この方針は役に立っていると思っていて、ウチの学校はエラいなと。

それはともかくとして、そういうわけなんで私の歴史の知識というのは、ルネサンス以降のヨーロッパに偏っていて、古代ローマとか、中国とかよく知りません。で、それ以上に、中央アジアとか西アジアとかモンゴル帝国に関する知識がこれっぽっちもないし、もっと言えば、地理的な感覚もまったくありません。黒海と中国の間がどうなってるのか、まったくイメージ出来てません。

この本の最初は、舞台となる地域の概略から入ります。テンシャン、パミール、アム川とシル川・・・どこ?全然位置関係が把握できない・・・。

仕方ないから、地図帳を買いました。懐かしい・・・。

これを参照しながら、本を読み進めていったんですが、わかったことはとにかくヨーロッパも中国もまったく騎馬遊牧民に太刀打ち出来なかったということです。基本的に、されるがままです。それぐらい、騎兵というものが圧倒的な武力だったってことなんですね。

中国もモンゴル以前に漢の時代から負けっぱなしで、内実はどんどんと取り込まれちゃってるし、ヨーロッパもスキタイから始まって、ペルシャ、トルコ、イスラム、モンゴルとやられっぱなしです。で、大航海時代より前で言えば、各地域の歴史ではなく「世界史」という観点で捉えれば、どう考えても主役は中央アジアなんですな。そこで起きた文明が世界を何度となく統一しかけているわけで、その力の源は物流と経済と軍事で、それらは全部中央アジアで行われていたのだから。ヨーロッパはほとんどの時期、田舎に過ぎなかったと(笑)。でも、そこで起きたこと全然知らない。まあ、単に私が果てしなく無知なんだけども、それはそれとして、あんまり文献が揃ってないというのもあると。さらに、中国語とモンゴル語とペルシャ語と、その他の文献を総合して研究していくことが難しいし、はかどってないってのはあるんだそうです。

はー、ほー、と無知にもまったく知らなかった歴史の流れを本から受け取っていると、ちょうど、NHK BSで我々が小学生の自分に大ブームになった「シルクロード」の再放送が始まりまして、まあ、これが面白い。1983年頃の取材なので、いまから40年近く前、天安門事件も起きる前の中国、ソ連。イラクとイランは戦争中。もちろん、日本だって昭和58年と令和3年では大きく変わってはいますが、日本はあるし、自民党もまだあるし、同じ通貨を使ってもいます。しかし、映し出されている圧倒的な映像(もちろん4:3)のウイグルや旧ソ連の中央アジア諸国、中東諸国の変化はおそらく日本の比ではないと思いますから、もう、凄まじく貴重な映像で、ため息が出ました。毎回、地図帳とにらめっこしながら(とはいえ、中央アジアはそれほどページも割かれていないんですが・・・もっと詳しい地図が欲しい)、はーとかほーとかいいながら観ました。観ながら、ホントに中央アジアについてはなーんにも知らないなあと。そして、日本に邪馬台国があったのなかったのというころから、世界史はもうこんなに激動していたんだということに圧倒されました。

いやー、小学生の時も親はこれを観ていて、横で「くそつまんねー」と思っていた記憶があるんですが、こういうものを面白がるためには大人になる必要があるんですなあ・・・。

というわけで、しばらくシルクロードがマイブームです。続けて、他の本も読んでみたいんですけど、何がいいのかなあ。

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