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フォード vs フェラーリ

モータースポーツファンの教養ですから、観てきましたとも。

と、言ってもですね。なんせこれは1966年のル・マン24時間レースの話ですから、何が行われているのかさっぱりわかりません。

私も多くの日本人と同じようにマツダ787Bが日本車として初優勝した1991年にル・マンの存在を知り、ちゃんと追っているのはGT1規定になったころから。ポルシェ911GT1が超格好良くて、メルセデスのペラペラのマシンが空中を舞っていたころです。その時代だって今からもう20年以上前なんですけど、この話はそこからさらに30年前。ハントとラウダの話を映画化した「Rush」も教養として観に行きましたが、あの映画の10年前なわけです。

劇中に出てくるドライバーの名前と言えば、ダン・ガーニーとかブルース・マクラーレンとか。ガーニーがガーニーフラップのガーニーだし、マクラーレンはあのF1のマクラーレンチームのマクラーレンであって、ドライバーとしてどうだったかとか、知りませんもの。翌年のル・マン優勝者が佐藤琢磨をチームオーナーとしてインディーカーで走らせていたあのA.J.フォイト御大(御年84歳)ですから、まあ、すっかり昔。

ル・マンだって今と全然違います。ドライバーはフルフェイスのヘルメットどころかゴーグルをつけて走っているし、夜は本気で真っ暗だし、ユノディエールにシケインがないどころかフォードシケインすらないし(まあ、フォードがル・マンに出始めた頃の話なんだからそりゃそうだ)、ホントにルマン式スタートをやってますし(1970年までだったらしい)。

レースというものの価値も、レースチームの規模も、ドライバーという存在も、今とは全然違う。そういう時代のお話です。

とはいえ、数年前にフォードGTが復活して、ル・マンのLGT Proクラスでガッチガチの争いをしていて、その姿に66年に初めてフォードがフェラーリを打ち破ったという伝説とその時のGT40というマシンを重ね合わせて楽しんでいるというのはまったくもって教養のなせるワザであって、それをこうやって最高の映画の形で教えてくれるというのはホントにありがたいことです。

いや、映画はね、ホント、いいんだわ。とにかく、マット・デイモンがいい。良い役者ってのは、ほんと素晴らしい。お話の組み立てもいい。テンポも最高だし、後半30分まるまる使ったル・マン24時間レースのシーンもとても良い。フェラーリがフォードの買収提案を蹴ってフィアットの傘下に入り、怒ったフォードがル・マン24時間に打って出る。それに手を貸したのがあのコブラで有名なシェルビー。そういう大まかな歴史は知っていても、ドラマとして見せられるとびしっと頭に入る(いや、多少ならずも誇張はいろいろあるんだろうとは思うけどさ)し、シェルビーがル・マンを勝った初めてのアメリカ人だったとか知らないこともいろいろあるし。燃えるし、泣ける映画観て、教養まで付けばいうことなし。というわけで、モータースポーツファンは全員観るべし。

そうじゃない人が観て面白いのかどうかは、私にはわかりかねます。ま、でも、たぶん面白いと思うよ?

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