ゲーマーズ!/葵せきな
「生徒会の一存」シリーズの葵せきなさんの新シリーズ。出ているのは知ってましたけど、様子見してました。
ちょっと様子見が長すぎたようで、既刊はすでに8巻。今クールにはアニメも始まってます。1話は見ました。何だろうね、この古くさい素敵な演出は。ぴったりだわ(笑)。
というわけで、このシリーズ。「生徒会の一存」はキャラの口を借りたネタトークが魅力で、ゲラゲラ笑って楽しめるものの、バックストーリーが意味不明にシリアスになってノリについていけないというようなところがありましたが、今回は本人達は深刻でも所詮高校生の恋愛模様なのでそんな深刻になることもなく、おバカな会話の応酬と誤解が誤解を生むコントのようなストーリー展開を十二分に楽しめます。1巻からその時に出ていた7巻まで、ゲラゲラ笑いながら一気に読んじゃいました。
いやー、どの子も可愛い(男も含めて^^;)し、「めんどくさいオタクたち」の描写が上手いなあ。この筆者の魅力を出すには、変に奇をてらった設定とか要らないです。いや、それじゃ売れないってのはわかるんですけど。今のラノベ業界で「ゲーマーズ!」なんてタイトルで本を平積みしてもらえるのは「生徒会の一存」の実績あってこそだと思いますしね。でも・・・嫌な言い方すれば、この人って2次創作で一番栄えるというか、「普段はこういうこと言わない○○ってキャラが、こんなこと言い出したら面白い」というようなものを書かせたら日本一ってタイプなんで、安心してゲラゲラ笑えるネタを書いてくれたら嬉しいなと思います。
というか、1巻の人物配置は凄く面白かったと思うんです。けど、主人公達が良い子ばっかりで、途中から人間関係が動かなくなってきていて、7巻はすごくトリッキーなことになっちゃってます。最新刊の8巻はそのお片付けなんですが、無理してやりたかった方向へなんとか持って行けていて、やれやれって感じですか。こういう、「いつまで続けて良いかわからない話」ってのも大変だと思うんですよね。突然「次巻で終わりです」って言われるかもしれないし、あと10冊書かないといけないかもしれないし。ま、とにかく8巻も掛け合い漫才は超面白かったので、大満足です。
しかし、この8巻、校正が・・・。読んでいて、結構な勢いでミスに当たるんですよ。
- P51 花憐のモノローグで「雨野」と呼び捨てにしてる
- P162 「サービスをした強要した」→「サービスを強要した」
- P201「ゲーム部に影響を受けた天道の影響」→「ゲーム同好会に影響を受けた天道の影響」
- P239「ゲーム同好会五人に、コノハさんが加わって、五人ですね」雨野、算数は大丈夫か。
- P268「ぐいっと彼の腕に絡みつき・・・」からの6行。「・・・歩き始めるあたし。センパイは・・・並んで歩き始めた。・・・あたしを引きはがしにかかるセンパイ。あたしは・・・隣を歩き始める。センパイは・・・歩き始めた。・・・二人、・・・無言で歩き続ける」何だこの2人、何回歩き始めるんだ?(笑)
たまたまなのかもしれませんけど、こういうのって結局お金のかけ方に依るところもあるんで、やっぱラノベ界厳しいんだろうなと思ったり。担当編集は今頃たぶん落ち込んでると思うので、たくさん売れて増刷がかかって直せたらいいですね(笑)
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