「ゼルダの伝説 The Breath of Wild」をやってください
「ゼルダの伝説」は、もちろん有名なゲームですが個人的にはそれほど思い入れのあるタイトルではありません。
ディスクシステムで発売された初代は・・・当時、遊んだのかなあ?。一番記憶に残っているのは「リンクの冒険」なんですが、これがまあ、えらく難しいゲームで早々に投げ出した覚えがあります。
その後、スーパーファミコン、N64、ゲームキューブの3つの任天堂ハードは持ってなかったので、ゼルダがストーリー性と謎解きの要素を深めていく過程は全然知りません。Wiiの「スカイウォードソード」は買って、剣を楽しく振り回すゲームシステムは満喫したんですが、ストーリーはそれほど面白くもなかったのでシステムを満喫したら途中で止めました。
という感じで、Wii Uのゼルダの新作についてもあまり興味はありませんでした。しかしながら、発売日直後、twitterでDQ10初代ディレクター藤澤氏のツイートをきっかけに、下の記事を出先で見て「ふじくすがここまで褒めて、青沼さんがここまでやったというんなら、やるしかないな」とその場で注文しました。
まず2Dゲームで開発、社員300人で1週間遊ぶ!? 新作ゼルダ、任天堂の驚愕の開発手法に迫る。「時オカ」企画書も公開! 【ゲームの企画書:任天堂・青沼英二×スクエニ・藤澤仁】
そして、やり始めました。そしたら、もう、もの凄く面白いわけです。コントローラーを持つ手からガンガンに「いいゲーム」って感覚が伝わってくるんです。
ゲームの魅力にはいろいろな側面があります。華麗なグラフィック、心揺さぶられるストーリー、現実とまごうばかりの緻密なシミュレーション。でも、それはコンピューターゲームでしか味わえないものではありません。コントローラーで操作した結果が画面に反映され、それをさらにフィードバックして操作が上手くなり、その結果、出来なかったことができるようになる感覚。いわゆる「キャラを動かしているだけで気持ちいい」ゲームというのが確実にあり、任天堂はそういうゲームの作り方をよく知っている会社です。ただマリオを走らせてジャンプさせて敵をよけるだけで楽しい、そういうゲームですね。
「The Breath of Wild」(以下、TBoW)は間違いなくそういうゲーム。ただグライダーで滑空しているだけで楽しい。壁を登っているだけで楽しい。ひたすらその辺の動物を矢で射止めて肉を集めているだけで楽しい。これは「いいゲーム」だ。
それがあった上で、最初のチュートリアルで3つの祠を巡り、そこで物理エンジンを使った簡単な3Dパズルを解いたらいきなり世界に放り出されます。最初のチュートリアルのフィールドも十分に広いんですよ。甲子園ひとつ分ぐらい?端から端まで走ったら数分かかるような広さなんです。ところが、マップ全体はその数十倍の広さ。そのマップ全体に120の祠が敷き詰められます。祠を見つけるとそこにワープすることができるので、祠を見つけると単純に嬉しい。
そして、わくわくしながらその祠の試練(=パズル)に取り組みます。簡単なモノもあれば、途方にくれるようなものもあります。1時間やそこら悩んだモノもいくつもあります。しかし、ネットの情報を見ないと解けなかったモノはほとんどありません。「ええー?」と思いながら、あーでもない、こーでもないとリンクを動かします。タイミングが大事で何度も失敗しながら操作に上達してクリアするものあり、思いもかけないところにアイテムが隠してあってクリアするものもあり、理詰めで「最後はこうならなきゃいけないはずだから・・・・」と操作順序を組み立てて考えるようなものもあり、いままでこう使うと思っていたアイテムの思いもかけない利用法を思いついてクリアするものもあり。とにかく「我慢してじっと考えていればいつか解ける」ようになってるし、そう信じられます。これ、凄いですよ。TBoWをクリアしたもの同士なら、「ねぇ、あの○○がでてくる祠、どうやって解いた?すぐわかった?」とひとしきり盛り上がれること間違いなし。いや、面白いです。
というわけで、発売日より2ヶ月、ただひたすらこの世界、ハイラルの北から南、東から西をただただ「こっちには何がある?」とただただかけずり回ってますが、いまだに起動する度に「そういえば、この辺りにいったことがなかったな・・・」と探索すれば新しい祠、新しいギミック、新しいイベントに出会います。1回数時間遊んで、「今日は新しいものを何も見つけなかったな」なんて日、一度もない。もう優に100時間以上は遊んでると思いますけど、全然終わった感じがしない。全世界の各地に散らばった12カ所のメインストーリーのイベント、4つのメインダンジョン、各地で依頼されるクエスト、ふと横をみたら飛んでる巨大な竜、足を踏み入れた途端にとらえられる試練・・・すごい。凄すぎる。
いや、例えばですね、どれだけ遊んでも遊び尽くせないようなゲームってありますよね。でも、それって大抵はランダム性によって毎回遊びが変わる(「不思議のダンジョン」とか)とか、人と対戦するので戦略が進化していくとか(格ゲーがそうですよね)、そういうものじゃないですか。でも、TBoWは2ヶ月ずっと遊んでいても遊び尽くせずにハイラルのあちこちを思うがままに自由にうろちょろうろちょろしているにも関わらず、そこで出会うもののすべてが開発者の手のひらの上なんですよ。「うん、ここに来てみたくなるでしょう?そういう人いると思うから、お土産置いておくね」「だよね、これを試して見る人もいるよね。だからイベント用意しておくね」・・・いやはや、どうなってるの、これ。どれだけ開発に時間かければこんなもの作り上げられるの?
とはいえ、ずっと遊んでるわけにもいかないので、このGWにクリアしました。クリアってのはストーリー上の最後のイベントを観たという以上の意味はないんですが・・・いやー、燃えるね。そんな大したストーリーも無いんですけど、それでもちゃんと盛り上げて、手に汗握る(けど、ちゃんと誰でもクリアできる)ボス戦、イベントムービーを作ってくれてます。スタッフロールみながら、そこに名前が出てくる人々すべてにただひたすらの感謝。「スプラトゥーン」を21世紀最高のゲームと言ってはばからない私ですが、「ゼルダの伝説 The Breath of Wild」はそれに匹敵するゲームだなあ。Wii Uは、スプラとゼルダが遊べたというだけで歴史的に意義あるハードですよ。
というわけで、Wii Uのラストを飾る超大作。そして、奇しくもSwitchのローンチタイトルともなった本作は、遊ばないと人生損してる級の最高のゲーム。そして、殺伐としたFPSを誰でも遊べるキュートでポップな遊びに作り替えた「スプラトゥーン」にしたのと同じように、これまた殺伐としたオープンワールドを暖かみのある豊かな世界と極上のおもてなしに作り替えた「ゼルダの伝説 The Breath of Wild」という到達点に導いた任天堂は、ホントに凄い。ちょっとこれを越えるゲームって思いつかないぐらいです。
もうさんざっぱらあちらこちらで絶賛されてるんですけど、私も言います。この記事を読んで、まだTBoWをやっていない人は、とにかく騙されたと思ってやってください。いまさらWii Uを買ってもしょーがないので、なんとかNintendo Switchを入手してどっぷりとハマってください。ん?「Switchって他に遊ぶゲームないじゃないか」って?そんなこと気にする必要ないから。たっぷり夏までゼルダ以外のゲームやる暇なんてないから。夏になったらスプラ2が出るから問題ないでしょう?このゲームを遊ばないなんて選択肢、ないですよ。ホント。
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