森橋ビンゴさんの「この恋と、その未来。」が打ち切りになってしまった
ラノベの感想を書くのもなんだか久しぶりです。
というのも、最近の作品は全然読んでいないからです。ラノベのレーベルから出る本をまったく読んでいないわけではないですが、以前から読んでいるシリーズを買っているだけで。
ところが、「文学少女」シリーズが代表作であるヒット作家の野村美月さんの「吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる」が打ち切りになってしまったんですね。ありゃまー。後に、書かれなかった話のフォローとして番外編がでたんですが単行本で1000円以上する価格になりました。うーん、まあ、わからんこともないですが、残念な結果です。
そして、「東雲侑子」シリーズの森橋ビンゴさんの「この恋と、その未来。」も打ち切りになってしまいました。あちゃー。「東雲侑子」も好きだけど、このシリーズも好きだったんだけどなあ。
お二人とも、事前に編集者から「構想通りの巻数は出せなさそうだから、短縮して欲しい」という依頼を断って、未完のまま完結ということにしています。ビンゴさんもあとがきで書いていますが、今の時代、本という形で出版されなくてもユーザーの元に届ける方法はいくらでもありますから、そういう選択になるのはよくわかります。
それはそれとして、好きで読んでいるシリーズが立て続けに打ち切りになるというのは、何かが起きている予感がしますよね。まあ、言うまでもなく今のラノベレーベルのラインナップには違和感満載です。ラノベブームのころはブームが故に実験的なものや、挑戦的なものがたくさん出ていて、それがラノベの豊かさだったんですが、ブームが終わるとどうしても売れ線のものに集中していってしまいます。
で、今、集中しているものがかなり偏ってしまっているんですよね。異世界転生もの、ヴァーチャルゲームもの、謎の文化部or生徒会もの・・・。もういいよって感じです。ただし、集中しているだけあって、売れているものはさすがにレベルが高い。またか・・・と思いながら実際に読んでみるとやはり「そうきたか」という新しい視点があるし、それなりに面白い。ただ、ファンが先鋭化してしまうとジャンルとして衰退するのはやむを得ないです。
そんなわけで、今の書店のラノベ売り場に平積みされている本は、眺めているとものすごくIQが下がっていきそうな感じで、「面白ければラノベでも読むよ。むしろ、ラノベって自由で面白い」とラノベブームのころのに獲得した読者を完全に裏切っています。各社、もちろんそれはよくわかっていて、ここ最近は、「ラノベじゃないラノベレーベル」の新設が盛んです。なんじゃそりゃって感じですが、要するにラノベの棚に並べて欲しくないってことですね。
もっとも早く出来たのがメディアワークス文庫。2015年の新刊のラインナップを観ていただけば、「これのどこがラノベじゃないの?」と思われる方が多いでしょうが、今のラノベの表紙って・・・例えば2016年5月のGA文庫はこんな感じですからね。ちょっと一緒に並べづらいです。
続いて新潮文庫nex、講談社タイガが設立されました。野村美月さんや、「とらドラ!」の竹宮ゆゆこさんは新潮文庫nexで本を出してます。今月は竹宮ゆゆこさんの新刊がでてます。今、この記事を書くためにAmazonで新刊の「砕け散るところを見せてあげる」のページを表示すると
はいはいはい。そうですよ、私がこの3冊をまとめて買っていく層です(笑)。文芸書とか純文学ってすでにジャンル小説になっていて(詳しくは佐々木敦さんの「ニッポンの文学」を参照)、普通の本好きはジャンルを横断して面白そうな本を何でも読んでいるんですが、そういう人がブームの時に読んでいたようなラノベがこれらの新しいレーベルで出て行くという流れになるのならそれはそれでいいと思います。が、これらはまとめて棚が作られないので、レーベルを分けている意味がイマイチ・・・。ともかく、すこしアンテナの感度をあげて注目していきたいと思ってます。
ふぅ、この流れだと支倉凍砂さんの「マグダラで眠れ」シリーズが途中で終わらないか心配になりますなあ。
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