ゲームウォーズ/アーネスト・クライン
没入型のオンラインゲームが普及してほぼインフラとして機能している社会。その一方でリアルは活力をネットに奪われ、重ねてエネルギー不足により荒廃の一途をたどっている社会。
そんな社会の創始者である大富豪の天才ゲームクリエイターが死ぬ間際に言った。「このゲームにしこんだイースターエッグを見つけた人に、全財産あげる」
しかし、この大富豪さんは超オタクだったので、オタクしか手がかりを見つけられない。かくして、財宝探しをする人達はこぞって80年代ギークカルチャを学ぶのだった。
・・・えーっと、没入型ゲームの世界で命や富、そして世界の謎をかけて戦う話というと、もう日本では割とありふれた設定ではあります。「.hackシリーズ」や「ソードアート・オンライン」、「サマーウォーズ」なんかも近いですよね。
それらの日本の作品とこの「ゲームウォーズ」(原題は"Ready Player One")の違いは、このゲームありきの世界がどうなっているのか、そのディストピア感をちゃんと作っているところと、なによりもその「オタクぶり」。バンバンに過去の作品を出してきます。でも、最初の頃はアタリのゲームだったり、B級映画だったりで、私はあんまりなじみがない作品ばかりなんですけど、最後はもう、なんだかえらいことになります。
クライマックスのバトルなんて、「ガンダムVSメカゴジラ」だったと思ったら、「ウルトラマンVSメカゴジラ」になりますからね(ネタバレご容赦。まあ、読んでみてよ!)。スピルバーグで映画化とか言われてますけど、円谷プロとサンライズと東映に版権取りにいくんですかね。富野さんが悔しくて絶叫するんじゃないですかね?(笑)
悪役がホントにワルかったり、最後に仲間が集まってくるシーンはかなり熱かったり、読み応えもばっちりです。表紙はなんだかよくわからないSF風ですが、これはもうむしろ電撃文庫とかファミ通文庫みたいな装丁がぴったりの作品なんで、気軽に読んでみよう!
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