F12014#1 オーストラリアGP
少なくとも私がF1を見始めて以来、最大のテクニカルレギュレーション変更が行われた2014年シーズンが、ついに開幕しました。
昨年までも、「マシンはもっと速く走れるのに、走ってしまうとタイヤが持たないので能力値以下で走る」のいう場面が、ときどきありました。そうなると何が起きるかというと、予選では見られたマシンのポテンシャル差がレースではタイヤ性能でキャップされて無くなってしまうということです。接戦を誘発するという意味ではそれもいいのかもしれませんが。
今年は基本的に予選のパフォーマンスと決勝のレースペースはまったく別物になります。例えば、ダウンフォースレベルの高い車は予選で良いタイムを記録できるかもしれませんが、実は決勝ではドラッグを減らして燃費を向上させ、ストレートでアクセルを開けられる時間を増した方がトータルペースは良くなるのかもしれない。燃費がいいならいっそ搭載燃料量を減らした方が速いかもしれない。
今はまだ車がまともに走っていない状態なので見えてきませんが、状況が落ち着いてくればこの環境において速い車、強い車はどんな車なのかという探り合いの結果が見えてくるはずです。私はレース自体も楽しみにしていますが、実はそれを一番楽しみに見ています。
さて、中長期的にはそんな見所を抱えた14仕様F1ですが、初戦はそんなこといってられません。直前になってF1の歩くルールブックことチャーリー・ホワイティングが「全車リタイアしたら、レースはそこで打ち切るね」とかコメントしていたりするカオス感。はたして、何台が完走するのか。完走したら全車ポイントなんて自体になってしまうのか(大昔、雨のモナコでチェッカー受けた車は全車入賞というシーンは見たことがありますねぇ・・・)。ここまでのながーい前振りを踏まえて、オーストラリアGPのポイントはこんな感じでしょうか
- あれ?思ったより差がないぞ?
- ブレーキ・バイ・ワイヤーの難しさ
- メルセデスエンジンが勝利の鍵だ!
同じ性能の車で走っても様々な条件でラップタイムに数秒の差がついてしまうのがレーシングカー。金曜日のフリー走行からどんどんとタイムは上がっていきますし、タイヤの差で1秒以上違うこともしばしば。そして、1周1秒の差があればレースでは勝負にならないのもレーシングカー。今回のレギュレーション変更はとにかく大規模だったので、ヘタすれは特定メーカーのパワーユニットを使っているチームが5秒遅くて話にならないなんてケースもあり得るだろうと思ってました。なんせテストのときには「GP2の方が速い」なんて言われてたチームもありましたから。
ところが、セッションが始まってみるとセッションでこなせた作業の差という意味で大きな差はあるようでしたが、ちゃんとメルセデスとレッドブルが上位に並びました。いやいやいや、トップチームというのはすごいものですね。ちゃんとそのレギュレーションで競い合う位置に来られるんだから。実際にレース中継を観ると、エキゾースト音は変化したなと思いますが別にそんなもんかなという感じですし。意外と違和感ないです。「エンジン音が変わってF1の魅力が失われた」なんていう人は、単にF1に刺激だけ求めてるんでしょうかねぇ・・・じゃあ、他のカテゴリーは全部だめってことになっちゃうじゃん。
さて、そんな中で注目が集まっていた新ワードのBBW。大昔に電子制御がF1で流行りだした時代にマクラーレンが「フライ・バイ・ワイヤー」に取り組みだして話題になったりしました。あれはアクセルペダルでしたが、今度はブレーキペダルです。大昔と違って、ペダル入力値を電子的に取り出して扱うことそれ自体が問題なのではなく、その入力値を元に諸条件を鑑みてどの程度回生ブレーキを使い、どの程度カーボンディスクブレーキを使うかをリアルタイムに決めるということです。やっていることはTCSやABSに似ていますが、より難しそうなのは想像に難くない。んでもって、ブレーキングってのはレースの鍵ですからこれがちゃんとドライバーのフィーリングにあっているかどうかは大事。
どうもライコネンがこれに苦戦しているっぽい雰囲気です。というか、フェラーリPU勢が全般なのかも?フェラーリはパワーも足りないという話ですが。ただし、開幕戦全車チェッカーなのはいいですね。エンジンはすでにホモロゲーションになったのですが、ソフトウェアの向上幅があるのはよいことです。
ちなみに、復活の可夢偉の初戦はBBWのトラブルでリアブレーキを失ってスタートから1コーナーを直進という大変残念な結果。まあ、これもBBWの問題っちゃ問題ですが、レベルが違うかも。
というわけで、PUによって全然カテゴリーが違うレースになるというようなことはなかったものの、上位はメルセデス勢が独占して、レースペースは遅いもののフェラーリ勢が続き、ルノー勢は8台中6台がリタイア(つか、2台感想したトロロッソ偉い)というくっきりとした結果になり、少なくとも序盤のフライアウェイはメルセデスが席巻してしまいそう。ここはなんとかウィリアムズにかき回してほしいところですね。
さて、これを1週間書けて書き終わった今日はもうマレーシアGPの予選日。また可夢偉君は金曜日ぼろぼろのご様子。熱いマレーシアは飛行機行方不明事件でお通夜モードかもしれませんが、どのような戦いが繰り広げられますやら。
「スポーツ」カテゴリの記事
- 最近のF1はつまらないのか(2019.06.29)
- 稀勢の里と照ノ富士について思うこと(2018.12.01)
- F1.2グランプリ 2018前半戦(2018.08.02)
- トヨタのル・マン優勝の意義(2018.06.24)
- F1GP 2018#1 オーストラリアGP(2018.03.26)
Comments