2013秋アニメ 1話感想 そのさん
つぎは、ラノベ原作をいってみましょうか。いっときは次々にヒットアニメを生み出しましたが、ここのところラノベ自体に元気がないですね。まあ、行き着くところまでいっちゃいましたからね・・・
ゴールデンタイム
「とらドラ!」の竹宮ゆゆこのラノベが原作。「とらドラ!」と違い、登場人物達が大学生なので割とドロドロするらしいんですが、まあ「とらドラ!」だってそれなりにドロドロしましたね。
「とらドラ!」はすっごく好みで、アニメの途中でみのりんに転んで一気に原作を読破しました。ただ、次回作が出ていることは知っていたものの、何となく未読。なので、アニメが面白かったら当然読むつもりです。
1話は顔見せ回なので特にどうということもないですが、奇をてらわない落ちついた作りで好印象。「とらドラ!」同様のJ.C.STAFFの制作で、シリーズ構成は志茂文彦となれば凄い出来にはならずとも安定したクオリティは保証されたようなもの。原作未読なことを喜びつつ楽しく観たいと思います。
勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。
長さでインパクトを得ようとするタイトルも、相当「終わった」感のある今日この頃です。「勇しぶ」って略すそうです。うん、どうでもいい。ラノベ原作です。これも「日常異世界もの」です。
いわゆる魔王と勇者がいるティピカルなファンタジー設定を「ずらす」というのは弄りやすい題材なので、ここ数年、たくさん作られています。「まおゆう」もそうだし、「はたらく魔王さま」の印象が新しいかな。
勇者といっても、実はその世界に1人って訳じゃなくて、公認された勇者だけでもたくさんいたんじゃないかというのは「戦勇」でもやってた設定ですが、今作ではその中のある勇者ご一行様がめでたく魔王を倒したために、他の勇者が失業しました・・・という設定です。
それでですね、普通だったらそのファンタジー世界で勇者に求める需要がなくなったらどういうことが起きるのかまじめに考えるんだと思うんです。言ってしまえば、明治維新で武士がいなくなったみたいなものだから、ネタとしてはいくらでもやれるわけで。ところが、なぜか勇者候補生の主人公は家電量販店で働くことになります。うぇ?ファンタジー世界に家電量販店があるの?あるんです。電機じゃなくて魔法で動くけど。隣にはコンビニがあります。ここホントに異世界?
というわけで、ここから一気に「日常異世界もの」になります。でも、元勇者が家電量販店で働いていて魔王の娘がバイトに来ても、なんせついこの間まで別の魔王が幡ヶ谷のマクドナルドでバイトしてたわけで、その設定自体にインパクトがあるかというとあんまりないんですよね。単に世界観が陳腐になって、さらにそこに陳腐化したファンタジー世界のお約束が入ってくるという陳腐の多層構造図。
で、なんでそうなるのかなんですが、思うにそうしておけばちゃんとした世界の説明が要らないからです。仮に、新人の作家がこの設定を思いついたとしましょう。そして、その世界で内乱が起きて、元勇者の奪い合いとなり、この間まで志を同じくしていた勇者同士の血で血を洗う争いが・・・ここで編集者がストップをかけます。「その設定って、会話文主体のラノベフォーマットの200ページで書ける?それ以上長いと読者読まないよ?」
かくして世界は陳腐化し、20ページ目からキャラ同士の楽しい漫談が始まると(笑)。
えっと、ここまでの感想ではこの作品をすごくdisってるように見えるかもしれませんが、作品としては全然悪くないです。求められるものはちゃんと入ってる。動きも演出もいいし、ギャグも笑えます。でも、ちょっと志が低くないかと。ハーレムアニメが乱発されたときも同じことを感じたわけですが、要するに「日常異世界もの」というフォーマットは読者/視聴者が異世界に違和感なく入っていけるための配慮であると同時に、読者/視聴者を舐めてるってことでもあるわけです。
とはいえ、じゃあ、「精霊の守人」「グイン・サーガ」「十二国記」みたいな異世界をばっちり描いたファンタジー小説の名作がアニメでヒットしたかと言われれば「うーむ・・・」となってしまうので、歯がゆいところではあるんですけどね。
アウトブレイク・ カンパニー
またもやティピカルなファンタジー世界がありまして、なぜかこの世界がつながってしまい、異世界交流が始まりかけてます。そこに、オタクな自宅警備員が呼ばれて娯楽文化が遅れているこの世界を萌えで文化侵略しちゃおうという陰謀の先兵にされてしまうというお話です。今期4作目の日常異世界ものです
で、このオタクくんが無理なく溶け込めないといけないので、異世界で耳のとがったエルフの美少女がメイド服を着ている・・・って、異文化交流舐めてますか?(笑)。萌え文化を輸出しようにも相手が既に・・・という気もしますし、「萌え」なんてハイコンキストなものがまったく違う文化の相手に理解されるわけもないし、そもそも言葉の問題が・・・とか突っ込んだら数限りないんですが、そこでツッコんでも仕方ないのが日常異世界の特徴。すべてはわかりやすさのためにある。
1話を見た限りだと主人公が異世界に連れて行かれて状況説明されて終わりなので、ここから先が面白くなるのかよくわかりません。日常異世界にしてしまったがために、世界の秘密自体をおもしろさにするのは難しいですから、この主人公が面白いか、シチュエーションが面白いかあたりで魅せていくことになるんでしょう。主人公にはあんまり期待できないので、どうなるかなあ・・・と思いつつ、2話は観ないかも。
ストライク・ザ・ブラッド
同名のライトノベルが原作。安定の電撃文庫。原作は未読です。
その意図なく強力な人外の力を得てしまった主人公と、その力のために敵意をもって接近してくる謎の美少女のペアが事件に巻き込まれていき・・・という、定番フォーマットで、どちらかと言えば世界の謎が魅力的になりそうな雰囲気だし、設定は興味深いです。
なので、原作プロモーションアニメとしては十分ですが、「これだ」という魅力に欠けることは確か。いや、他の作品が「これだ」を目指して奇矯なものを作りまくっているなか、普通に面白そうなのは良いことのような気もしますが・・・うーん、難しい。まあ、この主人公とヒロインの関係を中心にしていくのなら、1話では評価を下せないかな。
機巧少女は 傷つかない
同名のライトノベルが原作。こちらはメジャーになりきれないMF文庫J。いや、もう全部KADOKAWAだからレーベルはどうでもいいのかな?原作は未読です。
レトロヒューチャーな世界観の学園異能もの。さらに、主人公好き好き光線を出している女の子がめちゃめちゃ強いというこれまた定番のフォーマット。うむ。男の子にはこういう作品が必要な時期があるものです。
で、まあ、私にはもう必要ないので観ないわけですが、それぞれの登場人物が使う「人形」も個性的で面白そうだし、金髪のお嬢様も可愛いし、いいんじゃないでしょうか。
俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している
同名の(以下略)。没落のスニーカー文庫。いや、もう全部K(以下略)。
突如、頭の中に二択の選択肢(どちらもたいてい人としてやってはいけない言動)が浮かび、どちらかを選ぶまで行動不能になる病にかかったかわいそうな僕ちんが主人公。
その選択肢がひっじょーにくだらなく下品で、最初から最後まで下ネタ。いや、確かに「ストライク」にはなかった「これだ」はありますが、こうなっちゃダメだろう。タイトルもセンスないし・・・スカートの女の子に次々逆立ちさせるOPとかもただ下品なだけで面白くもないし。好きな作品としてこれを上げたらみるみる友達が減りますな・・・。
どうなのかなあ。いや、この設定や、もしかしたらこの原作でもそれなりの格のあるアニメにすることはできると思うんですよ。でも、お金がないのか、そんなことしても儲からないのかはわかりませんが、志がなーんにもない。ただ下品なアニメで下品な人を喜ばせてるだけ。こういう作品が1本ぐらいはあってもいいとは思いますけど、これが日本のアニメであり、こういうのを観てるのがアニメファンだとは思われたくないなあ。
東京レイヴンズ
同(略)。空虚な富士見ファ(略)。いや、も(略)。
これも異能バトルもの。落ちこぼれ陰陽師が実は・・・って、Wikipedia読んでも難しくてよくわからなーい。
やっていることは「ストライク」とそう変わらないために、潜在的に抱えている問題は同じ。じゃあ、この作品に「これだ」はあるかというと・・・努力は見えるんですよね。でも、「こんなの好きでしょ?」とたたみかけてくる格好いい演出の数々、例えば、男勝りの幼なじみとの痴話げんか、異能バトル、戦闘美少女が切る外連味たっぷりの台詞に最後のキスシーン等々が、華麗に空回り。なんの新鮮味もなければセンスもない。なんとなくかっこよさそうなものを並べただけで・・・あいたたたという感じ。
1話のラストはこんな感じ。日本を代表するような凄腕の超能力者(美少女)が、公権力に追われつつ謎の目的を遂げるために人違いでぼんくら(主人公)を拉致。それを健気に幼なじみ(ボクっ娘)が助けようとしたので、見せつけるように主人公にキス。いやあ、なんて意外性のあるラストでしょう・・・。だって、登場人物もスタッフも何を考えているのかさっぱりわからないから!
意外性のある展開と、意味がわからなく繋がってない演出は違うからね。いや、なんか久しぶりにダメなもの観ました。
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