スタートレック イントゥ・ダークネス
観たのもすっかり夏の話ですが、"Reboot版"(と呼ぶことになったんですか、これ?)のスタートレックの2作目が公開になりました。前作が2009年5月だったので、4年ぶり。いやー、シリーズものとしてはちょっと間隔長いなー
前作を「心意気は素晴らしいし、まあ、良くできてる」という感じで受け止めていたので、今作ももちろん見に行くつもりではあったんですが、すごく期待しているかというとそうでもありませんでした。すごく期待していたら、どんな話になるのか噂の一つも聞いてるはずだと思うのですが、劇場に行くまで本気で何にも知りませんでした。敵役があの「SHERLOCK」のカンバーバッチだということすら知らず、優性人間カーンの話だということも知りませんでした。まあ、知らないで行ってよかったかも。
だいたい、ポスターのコピー「人類最大の弱点は、愛だ」を見たら、もう悪い予感しかしませんよね(笑)。本編観たら、全然このコピーは関係なかったので安心して下さい。
さて、本作の感想ですが・・・(ネタバレしますよー)
「100点満点で、120点。恐れ入りました」
いや、ホント。冒頭でカークがスポックを助けるためにかるーく「艦隊の誓い(Prime Directive)」を破っちゃうところから、ラストで"5 years mission"につながるところで、"Space, the final frontier・・・"のナレーションとTOSのテーマソングが流れるところまでひじょーにスタートレック。艦隊内部の陰謀があったり、クリンゴンとの格闘があったり、敵艦への潜入があったり、すごく「スタートレック感」に溢れてました。これだよ。これを観たかったんだよ!
もちろん、みんなが大喜びでこき下ろす「ワープコアを蹴りで直す」場面など、ツッコミどころもあったわけですけど、まあ、それすらも愛おしいというか。
前作はクルーの紹介とエンタープライズに集うまでの話をやらなければいけないので、まだるっこしいところもあり、そのまだるっこしさを解消するために雪の中で怪物と戦わなければいけなかったり、やむを得ないながら魅力を減じる部分もありました。さらに、カークという人物に物語の主役を担うだけの資格がない(親父が偉いってだけだから・・・)という問題もありました。
ただ、今作はカークのキャラクターもはっきりしました。快活で優秀だが、未熟な面も持ち合わせた司令官で、「艦のクルーの命は俺が守る!」と見栄を切った後で、「みんなゴメン。無理だったわ」と言っちゃうあたり、愛すべきキャラクター。友人を守るためにルールをすこーんと破っちゃう彼が、同じモチベーションを持つカーンと対決してどう変わるのか、周りをどう変えるのかという物語の軸がはっきりしたので、非常に安心感のあるストーリー展開です。
で、そのストーリーをやりながら、途中で主役をスポックへ上手くスライドさせてます。「優性人間であるカーンに生身のカークじゃ殴り合いの相手にならない」とか「感情を出さないスポックに変化が現れる方が盛り上がる」とか理由は複数あるんですが、これも実に上手い。というか、カークのキャラクター上、カーンの主張を否定するのは難しいしね。これはテーマ自体が難しいから仕方ないんですけど。
これ、要するに「家族を守るためなら何やっても(=テロやっても)いいのか」という9・11以後のアメリカの主要なテーマなわけで、もちろん答えは出ないわけです。共同体(=宇宙艦隊)の利益VSカーンの家族(=優性人間という種族)という対立ではカークはカーンの側へ立つんですが、カーンの家族VSカークの家族(エンタープライズのクルー)という論理になると二人は真っ向から対決することになってしまうというストーリーの展開はなかなか興味深いです。
そういった大きな構造も良くできていますし、細かいところでも楽しませてくれました。カークとスポック以外のキャラクターにも見せ場はいろいろ用意されてたのはよかったですね。ちょいちょいと観ていきましょうか。
本作のゲストヒロインはキャロル・マーカスという悪役の娘なんですが、ストーリー上のキーは握っているものの、あんまり魅力的なキャラにならなくて残念。まあ、あまり劇場版のスタートレックの魅力的なヒロインっていないっすなー。
というわけで、ウフーラに期待なんですが・・・。えっと、スポックの痴話げんかに臨席してタジタジになるカークが笑えました(笑)。
スールーはキャプテンシートに座ってうれしそうな姿が微笑ましいです。スールーは後にUSSエクセルシオの艦長として活躍する(そして、その船にトゥボックが乗ってるわけですが、この世界線だとバルカン星は吹っ飛んでるので・・・)ことを知っているファンはニヤリです。
マッコイ、チェコフ、スコッティはそれぞれ活躍するシーンもあったんだけど、今後のシリーズでもっと目立てるといいですね。それにしても、スコッティがいないからってチェコフを機関主任にするって、相変わらずエンタープライズは人材不足ですな。機関部員に誰かいなかったのか。ラ=フォージだって上陸任務の時には代理を任命してましたけどね(笑)。
あと、まさかトリブルが出るとは思わなかったので、あそこもニヤリでした。でも、トリプルは有名ではあるものの、登場エピソードはそれほど評判がいいわけでもないので、あのぐらいの登場が良かったのかも(笑)。
さて、カーンですが・・・やっぱりSHERLOCKの印象が強すぎです。途中でカーンが次々にカークの行動を読んでいくとこの緊迫感はさすがでした。もうそのままSHERLOCKになったのかと思った。こういうタイプのキャラクターはこれまであまりいなかったので魅力的でしたね。だけど、なんかすごく人気って聞くとそれもちょっと違和感なんですけど・・・。割と特殊な顔だよね、この人(笑)
さて、当然のことながら次回作もこのままJJでヨロシクって感じですが、不安なニュースと言えば、ウォルトディズニーがスターウォーズの権利を買って、Episode7以降が作られること。ここまでなら大喜びとまではいかないもののGood Newsなんですが、その監督がまたもやJ.J.エイブラムス・・・うーん。スターウォーズとスタートレックを両方作り続けるとか、可能なんですかね。というか、他にいないのかい。
スターウォーズに関して言えば、JJ版スタートレックは、JJがトレッキーじゃないことによっていいバランスが取られて良作に仕上がっているという面があると思うんですね。でも、JJはむしろスターウォーズのファンだと。で、自らファンだと言ってしまってるスターウォーズで同じようにバランスの取れた作品が作れるかっちゅーと・・・。不安です。
そして、スタートレックに関していえば、こっちは単純。スターウォーズを全部作り終わるまで続編お預けとかやだよ!と。でも、普通に考えたらスタートレックの監督が交代ってことになるのかなあ・・・。パラマウントとしても、とっとと次回作を作りたいだろうし。どうなってしまうのでしょうか。
それはともかく、すっごく面白かったので、トレッキーはすべからく観るといいよ!
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