F1GP2013 #1 オーストラリアGP
今年もついに開幕・・・つか、11月までやってて3月開幕だと3ヶ月ほどしかオフシーズンがないわけで、あまり久しぶりという感じはしませんね。昔はオフシーズンがながーく感じたものですけど。
それにしても、3月から11月までの9ヶ月間の間に、F1が19戦、FN改めスーパーフォーミュラ(SF)が7戦、SGTが8戦、特別戦のJAF GPは楽しく観るわけで、これで35戦。ル・マン、インディ500、WEC富士、WTCC鈴鹿あたりも中継はあるはずです。ル・マン/WECはいよいよトヨタの逆襲があるのか、小林可夢偉の活躍はどうかという注目点がありますし、ついに初優勝が取れるチーム体制を整えた佐藤琢磨の活躍は見逃せません・・・というか、去年のアレを観ちゃったら、今年もみないわけにはいかないよねー。WTCCはついにホンダのワールドエンジンを載せたシビックが本気モードで走るわけで、気になっちゃいますよねー・・・て、もう全部の週末の数より多いんだから困ったもんです。
さて、与えられたレギュレーションに対する正解探しと、なんだかんだいって数チームは「秘密兵器」の開発があるシーズンオフですが、今年はダブルディフューザーやFダクトクラスの秘密兵器も無ければ、去年のような「段差ノーズ」の処理の個性などもあまりなく、新車発表は盛り上がりませんでした。どこのチームもテストではタイヤに翻弄されてマシンの出来/不出来はさっぱりわかりませんし。ただ、去年以上にチーム間の差は小さくなっていることは確かですし、そして差がタイトになってもレギュレーションの変化が小さければ結局、序列はあまり変わらないというのがいつものパターン。
となると、レッドブルは安定の速さ、マクラーレンは例によって尻上がりで序盤は低迷、フェラーリはコンサバというあたりは毎年のことかと。去年は珍しくマクラーレンが開幕良くて途中に低迷、フェラーリが冒険して転倒でしたが、去年が例外なんですよね。空力はイマイチでもメカニカルが良く、乗り手の腕次第のロータス(というか、川井さんがいう「エンストンのチーム」)と、好調を維持できない波のあるメルセデス(というか「ブラックリーのチーム」)というのも、結局、ここ何年も性格は変わってません。
で、フタを開けてみればマシンの戦闘力的にはだいたいそんな感じ。相変わらずニューウェイのマシンはすごく速いし、フェラーリはマッサが調子がいいということは素性は悪くないマシーンのはず。マクラーレンはお通夜ムードですが、マクラーレンの凄さはシーズン中の開発力なので、いずれ必ず上がってきます。ロータスもほどほどのマシンでこの3チームの直後につけています。メルセデスは・・・なんだかよくわからん。タイヤに対する反応が他と違いすぎるんですよね。でも、そんなに悪くは無さそうです。
中堅チームで言えば、一歩抜け出しているのがフォース・インディア。どうもいち早くタイヤの使い方を掴んだ様子。タイヤエンジニアの松崎さんの手腕なんでしょうか。他のチームに比べてドライバーラインナップも強力です。ザウバーはマシンは良さそうなんですが、エンジニアをまとめる人の存在感が薄いのが気になります。どうもレースでバタバタするんですよね。今回も中継で「がんばれネンチ」的なエピソードがバラされてましたが・・・ヒュルケンベルグのスタートできないトラブルも、ちょっと普通ではありえない感じです。トロロッソはベルニュがマクラーレンに喧嘩売れそうなところまで来てる(というか、マクラーレンが落ちてる)ところで期待出来そうです。中堅チーム立て直し請負人ジェイムス・キーもいますしね。ケータハムとマルシャは・・・がんばって。
といったマシンの戦闘力で、レースがどうなるかは今度はドライバーの争いになります。いやあ、今回のレースが車が接近したこともあって、ドライバーの個性がでました。
まず、予選ではQ1で絶妙のタイミングでドライを履いたバトン。流石です。もし、あのタイミングで赤旗にでもなっていれば総崩れだった可能性もあったわけで、そういう構図を作れるのがすごい。Q2でチームが欲をかいて早すぎるタイミングでドライを履かせた時も、ひどい目にあったペレスを尻目にちゃっかりタイヤを戻してQ3に残ってるし。ただ、この人はマクラーレンに来るまで乗ってるマシンが速くなったことがないという人で、もしかしたら開発能力に難ありなのかもしれません。ハミルトンが居なくなったことがどう影響するのかは気がかりです。
そして、ベッテル。どんどん乾いていくQ3でチェッカー1秒前という完璧なタイミングでラストのタイムアタックに入ってみせたのもすごいし、結局、その必要もなくポールを取ったのもすごい。決勝でも相変わらず慌てふためくウェバーと格の違いを見せて表彰台です。
そんなベッテルを破ったのがアロンソ。マッサ相手に無理せずアンダーカットでポジションを上げるところや、ハミルトンを抜くときの慎重さなど、レース巧者ぶりは群を抜いてます。チームメイトがろくに走れないマシンでも表彰台に乗っちゃう人ですから、マッサが好調で後ろにつけてるぐらいのマシンなら悠々と優勝争いです。
そして、ハミルトンも十分な存在感を見せてます。ロズベルグが物静かなタイプなので、チームを牽引する役割をすぐに奪ってしまいそう。車のポテンシャル以上のものを引き出してこそトップドライバー。トップドライバーはマシン以上のものを引き出して、それによってマシンが本当に速くなっていくものなのです。なので、同じチームのマシンに乗っていてマシンが向上していかない人というのは本当の意味でのトップドライバーではありません。シューマッハにしろ、アロンソにしろ、ベッテルにしろ「こいつが乗っているからマシンが速くなり、チームがトップチームに変わっていく」、そんな力を持っているもの。ずーっとマクラーレンで育ったハミルトンにその力があるのか、それはまだ証明されてませんが、ハミルトンが乗りはじめて、いきなりメルセデスが力を発揮しだしているように感じます。ニコとはやっぱ違いそうだなあ。
ところが、世の中にはマシンを速くしないけど、乗ったらチョー速いというタイプのドライバーもいるものでして、昔で言えばジャン・アレジ。ライコネンはまさにそんなタイプで、この人はシューマッハの遺産のマシンで、アロンソとハミルトンがチームメイト同士で殴りあってる隙にかっさらってチャンピオンになりましたが、本当はチャンピオンにはなれなくて終わるタイプ。しかし、今回のレースでは、まさに真骨頂。7位スタートから、一人淡々と一番速いストラテジーを迷うことなく実践して、悠々と優勝してインタビューで「今までで一番ラクに勝てた」なんだから、まったくもってイヤな感じ(笑)。でも、マクラーレン時代やフェラーリ時代とはちょっと雰囲気が違うのも感じます。フェラーリ時代などはチャンピオンを取ってもチームがマッサに肩入れする雰囲気だったりしたわけですが、ロータスとは相性が良さそうです。
というわけで、ここまで目立った人をあげれば全員チャンピオン経験者ということで、やっぱトップドライバーは違うナーという感じ。加えるなら、スーティル。でも、スーティルが「レースの一部でスバラしい活躍をして、結果にはいまいちつながらない」なんてのは前からなんで(笑)、スーティルが一皮むけるにはもうちょっとかかりそうですかね。
さて、次戦は連続開催のセパン。ここでマシンの性能差が本当にわかるわけで、とにかく予選はドライでお願いします(笑)。
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