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たかが英語!/三木谷浩史

本が好き!の献本に当選しました。

さて、グローバル化だそうです。同意します。英語大事だそうです。それも同意します。しかし、「だから社内の公用語を英語にします」はちょっとそのままは賛同しかねます。だって、効率はものすごく落ちるわけじゃないですか。この競争が厳しい時期に楽天さんってそんな余裕ぶっこいて大丈夫なんですかね?

話題を呼んだ楽天の社内公用語の英語化ですが、それについて三木谷社長が「なぜ」の部分と「どのようにして」について書いた本です。道半ばということもあって、「どうなった」についてはあまり多く書かれてません。つまり、読んだ感想としては「まあ、言ってることももっともだし、やってることもまっとうだけど、やってよかったのかどうかは書いてないなあ」となります。楽天の「公用語英語化」とは実態として何かはよくわかるんですが、「やった結果」がいまのところ「社員のTOEICの点数上がりました」以上のことはあまりないので、こちらも「う〜む」としか言いようのないところがあります。

さて、前提として少し個人情報を書いておきますが、私は外資系IT企業勤務のSEですが、日常はお客様常駐が基本で英語に触れる機会はありません。ただし、TOEICの点数が昇進条件になっていて、点数の足りない私は泣く泣く毎年受験し、だんだん点数が下がっている状態です<をい

個人的に言えば、「なぜ」の部分には違和感はありません。だって、アメリカに旅行に行けばイミグラントから大汗をかき、自分の英語力の無さに泣き濡れてかにと戯れるレベルの私でも、ベルギーでフランス語しか書いてないメニューを前に絶望感でいっぱいになりましたし、上海支社に出張に行ってミーティングが中国語じゃなくて英語だったら「助かったー」と思うに決まってますから。相手に求めるのなら、こちらもやるしかない。三木谷さんも海外進出の際、楽天のやり方を相手と共有する効率を上げることを目標にしてます。別に、英語圏の人とペラペラやりあうのが目的じゃないんです。

そして、ガラパゴスがどーたらこーたら言われてますが、全世界で同じケータイを売っているAppleと日本国内向けだけに何社もライバルがひしめくなか四半期ごとに新製品を出してる日本のケータイメーカーでは勝負はやる前から決まっているわけで、どこの世界でもそれは一緒よねという話です。しかも、日本国内の市場はこれからしぼんでいくこと決定ですしね。

そして、「どのようにして」の部分ですが、ドキュメントとミーティングが英語化され、TOEICが昇進要件になったんだそうです。ドキュメントとミーティングの英語化は、まあやれと言われればやるしかない。まだるっこしいですが、日本人同士のミーティングならたぶんどうにかなります。お互いが空気読みまくってね(笑)。むしろ、準備なしにミーティングできなくなりますし、「じゃあ、みんな認識したということで」とか「その方向で検討するということにします」とか、訳の分からない結論にできないので効率的かも。もしかしたら、すばらしく曖昧な日本的会議英語が開発されてしまうかもしれませんけど。

でも、うちの会社の場合も会議で使うような用語はどんどんカタカナで入って来てしまって(訳語作るのめんどくさいですからね)、「クライアントのカバレッジのマキシマイゼーションについて、アワードとノミネーションベースのデリゲージョン拡大をベースで検討中ですが、みなさんアグリーですか?」なんて謎な日本語が既に話されてるわけで、ネイティブ相手にするなら話は別ですが、しゃべるのがいつもと同じおっさんなら英語だろうが日本語だろうがおんなじじゃねえかという気もするんですよね(笑)

ドキュメントは読むのも書くのも圧倒的に時間かかるでしょうね。毎日やり取りする社内のメールがすべて英語になったらと考えると気が遠くなります。が、これも不思議な物で、たぶんやってみれば議論ははっきりするようになるでしょう。というのも、うちの会社では自分の年初の目標を英語と日本語の両方で書かなければいけないんですが、これ、先に英語で書かないとツラいです。日本語で書くと、どうしても英語にならず、英語で書ける表現に直して、もう一度日本語に直すハメになります。日本語だと知らず知らずのうちに、曖昧に巧く逃げた目標を書いちゃうんです。

そして、TOEICですが、ほかに妥当なメジャメントがない以上、しょうがないでしょうね。TOEICの絶対値はそれほど確固たるものではないですが(ネイティブでも満点は取れない人もいるし、満点取れてもネイティブとスムーズに話せるわけじゃないそうです)、相対値として600点の人より800点の人の方が英語力があることは間違いないですからね。進捗を測るには適切です。そして、本の中にはさまざまにTOEICに取り組む様子と楽天の支援策について書いてありますが・・・まあ、なんかそんな特別なことが書いてあるわけじゃないので、受験戦争を勝ち残ってきた皆様にはそれほど得る物もないかと。や、勉強すれば上がるし、試験だからもちろん効率がよいやり方はありますよというだけですな。わかっていてもやれないのよー(言い訳です)

というわけで、まったくもって批判する余地のない楽天の英語化です。あとはそれだけ社員に負荷かけて平気なのかってことなんですが、2年間の移行期間を無事完了ということは、なんとかなっちゃったってことなんでしょう。すごいですね、日本のサラリーマン。払った犠牲は間違いなくあったはずで、そのコストに見合うメリットがあったかどうかは、これからの楽天が証明することです。見守りましょう。

そして、この本に驚かされたのは、まさに最後の最後、「英語化の次は、コード化。社員全員にプログラミング言語を勉強させたい」。なんですと!。こっちの方が、目的も謎、実践の方法も謎、効果も謎。でも、間違いなく面白いし、私は思わぬ効果がどんどこ出ると思います。でも、何を教えたらいいのかは結構難しいですなあ・・・。

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