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われ敗れたり/米長邦雄

さる2012年1月14日、男性のプロ棋士として初めて公式の場でコンピュータに敗れた日本将棋連盟会長、米長永世棋聖が戦いを振り返って書いた本です。

はじめに断っておきますが、私は将棋はさっぱりです。駒の動かし方を知っている程度で、矢倉だの振り飛車だの言われてもほのかにイメージできる程度。将棋をさしたこと自体は小学生の時に1度か2度あるかないかといったところです。

でもなぜか将棋の番組、それも対局の大盤解説を観るのが好きです。なんなんでしょうね、あの魅力は。別に将棋が特別に面白いんじゃないんだと思うんです。囲碁なんかもっとわかりませんけど、ぼんやりと日曜日のNHKを眺めていたりします。麻雀もルールは知ってるけど点数は計算できないといったレベルですが、麻雀の対戦番組も眺めていたりします。あれも面白いですな。なんか偉そうな人があーでもないこーでもない、あたっただの外れただのこれはいいだの悪いだの言ってるのを見るのが、好きなんです。ほんと、なんなんでしょうね。

もう一方のコンピュータの話になれば一応はプロ・・・ですが、まあ、あんまりこの本には関係ないですかね

米長さんはこの難しい時代にやんちゃに会長を努めておられる面白い方ですが、その一方、プロ棋士がコンピュータとの対戦をすることを禁じた人でもあります。その理由は、いわゆる「棋士の尊敬と尊厳を守る」ためということなんですが、言ってもコンピュータなんてただの道具に過ぎないわけで、そんなに気にしたもんかなとも思います。このあたりは将棋に思い入れがあるかないかで変わるんでしょう。私は道具の善し悪しも競技のうちに入るモータースポーツのファンであることも関連しているのか、別段、どうとも思いません。

それとともにこの本では、プロ棋士がコンピュータと対戦する難しさの別の一面についても語っていて、要するに人間相手とコンピュータ相手では取る戦略が全く違うと。ただでさえ日々、新しい棋譜と対戦相手の研究に忙しいプロ棋士にコンピュータ対策をさせてしまうと本来の棋戦に影響してしまいます。コンピュータと対戦することが将棋の上達に繋がるのであればいいのですが、そうとは言い切れないそうです。

米長さんが羽生永世6冠に「やるか」と聞いたところ、「1年間すべての対局を休んで研究に費やしていいなら」という返事が来たそうです。そこで、米長さんはその間に羽生さんが失う対局料やタイトルやらを金額に換算して、7億円以上の対局料をもらわないと割にあわないと結論に。なるほど、「プロ」がやることの難しさがそこにあるんですね。・・・なら、引退した棋士ならどうだろう?手頃な人材は・・・いなくもない。

というわけで、自分で禁止しておいて米長会長自身のお出ましとなったそうです。この本の序盤は「で、私はどのぐらい弱くなっちゃったの?」という話から始まります。とりあえず、詰将棋でリハビリを始める米長さん。かわいらしいです。

そして、平行して市販ソフトと対戦を始めたり、家にPCサーバを導入してセットアップしてもらったボンクラーズ(今回対戦するソフトウェアの名称。あの「ボナンザ」を元に6ノードのクラスターシステムで動くようにしたからこの名前なのだそうな。会長にぼんちゃんと呼ばれてます)と早指ししてみたり。全然勝てなかったそうです。とにかく読みはコンピュータには敵わない。それはしょうがない。中盤から終盤は圧倒的に強い。となると、読み切れない序盤がポイントになります。

コンピューターは読み切れない序盤をどう凌ぐかというと、過去の膨大な棋譜を元に評価して補うのだそうです。そこで、米長さんはボナンザの開発者と会ったときに提案された二手目の6二玉を採用し、定石から外して戦うことを選びます。中盤までは思った通りに展開するものの、負けてしまいます。米長さんの敗戦の弁やいかに。

コンピューター将棋と人間の指す将棋の違い、今後も開催されていくことが決まった「電王戦」と今後の将棋界のあり方等、魅力に溢れた本ですが、何より米長さんの人柄に惹かれる一冊です。

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