鬼物語/西尾維新
完結まであと2冊。「傾物語」では片付かなかった真宵の物語が完結します。
とは言っても、「化物語」らしいといえばらしいのですが小説度といいますか、物語度といいますか、そういうものはすごく低いです。ここ2作が駿河が語り部の「花物語」、撫子が語り部の「囮物語」とヒロインの内面を多く描写する物語成分の強い話でした。
しかし、今回はいつもの暦視点で、そして真宵が出てきていつもの掛け合いが始まると脱線に継ぐ脱線。話題はどんどん得意のメタ視点を駆け上るんですが、実はメインストーリーのオチもこの物語のルール自体が新たな「化物」として登場人物を襲うというメタロジカルなものです。らしいっちゃらしいですなあ。
そんなこんなで、今回はストーリーらしいストーリーがなく、基本的に登場人物がべらべらしゃべって終わってしまいます。暦と真宵のメタ漫才に始まり、今回の敵に襲われ、その敵に関する忍のながーい回想があり、そして、最後に伊豆湖がながーい謎解きをするという、ストーリー展開としては、20点ももらえない構成です。とても小説として評価できるシロモノではありません。
ですが、真宵のラストシーンが印象的だったので、よかったんじゃないですかね。ファンはとりあえず納得でしょう。
それにしても、次巻の「恋物語」で完結なんですが、いろいろと積み残していることがたくさんあるような・・・。楽しみに待ちましょう。アニメも「傷物語」が劇場で、「偽物語」がTVシリーズだそうです。まだまだ続きますね。
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