県庁おもてなし課/有川浩
いつもの有川浩です。
今回は実在する高知県の観光誘致組織「おもてなし課」を取り上げてます。高知県出身の有川さんがこのおもてなし課から観光特使としての協力を依頼され、この組織のお役所ぶりにあきれたという体験から、それを題材に高知新聞に連載された物語です。
「シアター」もそうですが、自分の体験や見聞きしたことから取材の幅を広げて痛快で甘くウェルメイドな小説をぽんと作り出してしまえるところは、有川さんはホントに上手。有川ファンは安心して楽しめばいいと思います。高知県民は☆1つ追加でしょう(私は縁もゆかりもないんですが)。
ただ、今回は、新聞連載という新しいチャレンジもあるようですが、あまりにさらっと書いてしまっているので、有川浩にはどんな題材でも手なりで書けてしまうのではないかと感じてしまいました。逆に言えば、物語の中に作者の葛藤が見えないというか、「頑張った感」がないというか、何か定番シリーズの一冊を読んだかのようなそんな感じがしてしまうのも確か。次のレベルの有川浩も見てみたいなと贅沢な気持ちにもさせられました。
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