からだの一日/ジェニファー・アッカーマン
主に2000年以後の科学・医学における人間の体についての発見を、朝起きてから深夜誰しもが眠る(もちろん例外の人もいて、そういう人の体に何が起きるのかも書いてありますが)時間までの1日の流れに沿って紹介している本です。
私も高校を卒業してはや15年余り。15年も経てば、当時、生物の教科書に載っていたことからかなり生物学・医学は進歩しています。そうした知識の総アップデートにまさしく適した本です。逆に言えば、高校程度の生物学の知識はあった方が読みやすいでしょう。ヒトゲノム計画や、fMRI、テストステロンやコルチゾールなんて言葉をまったく聴いたことがなければ、少し戸惑ってしまうレベルかもしれません。
まあ、まったくそういう言葉を知らないなら、それはそれでこの本をさらっと最後まで読んで(魅力的な語り口なので、よくわからなくても読めてしまいます)、類書を何冊か読めばいいでしょう。我々が我々の体について何をどうやって知っていて、何がわかっていないかということは、現代を生きる上で必要不可欠な知識です。
さて、例えばどんなことが書いてあるかといえば、
- 薬を飲むのに、あるいは晩酌に適した時刻は何時か
- 空腹を認識させる化学物質は何か
- どんな腸内細菌が体脂肪率を引き上げるのか
- 疲労とはどんな体の状態なのか
- バイアグラは体にどう作用するのか
などなど、睡眠・知覚・消化・運動・生殖等のさまざまなトピックに対して1日の生活の流れに沿って紹介してくれます。「○○には××が効く」なんていう安直な本はたき火にくべて、このようなまっとうな科学書に親しんで、脳内の定期アップデートを行うことをぜひ、お勧めします。
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