F1GP2011 #4 トルコGP
開幕3戦はいい意味で予想を裏切ったピレリタイヤでしたが、このトルコではついに「こんなんなっちゃうんじゃないのー?」的な予想された展開がやってきました。
今や、スパのオー・ルージュに匹敵する有名コーナー(まあ、オー・ルージュは直線扱いになっちゃいましたし)となったターン8を有するイスタンブールサーキット。ティルケの設計したサーキットの中では例外的に褒められるこのサーキットですが、どうも今年が最後になりそうです。もったいない・・・。しかし、観客が入らないところでやっても仕方ないですけどね。
そのターン8はドライビングが難しいことと共に、マシン、とりわけタイヤに対する要求が大きいことでも知られています。そんなわけで、今年の決勝レースでは多くのドライバーが4回タイヤ交換。つまり、日曜日に5セットのタイヤを使用することになりました。予選開始時に各ドライバーが持っているタイヤはプライム、オプションが3セットずつですから、予選で使用したタイヤはまた決勝で使わなければならないことになります。アクシデントでタイヤがバーストする場合もありますから、大変だ。
さらにさらに、プライムとオプションの間のタイヤの持ちの差があまりないとなると、とにかくオプションで長く走りたい。さらにタイム差があればDRSを使用して追い抜きは出来る・・・となると、予選順位よりも決勝ペースが優先される展開すらあり得ます。ぶっちゃけ、レッドブルならQ1をプライムでクリアしてQ2もプライムで行ったとして、今回のGPなら予選12~15番手までこられてしまいます。この位置から新品のオプションタイヤ3本があるというのはかなりの優位。それは前戦のウェバー、今回の可夢威が明らかにしています。ルノーあたりは戦略がうまいので、何かやってきそうな気がしますね。
それにしても、決勝で5セットもタイヤを使うのにそもそも6セットしかタイヤがないというのはかなり厳しいです。ウェットに至っては3日間で7セットしかありません。ブリヂストンのウェットタイヤは、路面がフルウェット状態であれば基本的に1セットでレースを走りきれたわけですが、ピレリはどうもそうじゃないようです。ウェットタイヤが摩耗することが悪いとは思わないので、ウェットに関してはルール変更が必要でしょうね。じゃないと、雨の予選で誰も走らないなんてことに・・・。
さて、上位チームの戦力分析ですが、まとめると
- レッドブルはまだマクラーレンよりコンマ5秒速い
- フェラーリはちょっと良くなったかもしれないが、アロンソがすごすぎてよくわからない。
- メルセデスは1周だけなら気合いで速く走れる
- ルノーは安定してセカンドグループ。セカンドグループにメルセデスが追いついたり、フェラーリが追いつかれたりしている。
こんなところでしょう。
その下のグループは混戦ですが、ここが混戦になっていても今ひとつ盛り上がりません。なぜか。それは完走率がものすごく良いため、上位5チーム以外がポイントを取ることがほとんどないからです。
10位までが入賞圏内になったことで、6位までが入賞だった時代にくらべてポイントの価値が減ったような印象を持った時期がありましたが、かつてとはマシンの完走率があまりに異なるため、今の方が中堅チームがポイントを取るのが困難のように感じます。
それほど昔ではありませんが、@nifty Fmotorsportsのサイトで2005年のリザルトが見られるので比較してみましょう。
Rank. | Team | Engine | Point |
1 | ルノー | ルノー | 191 |
2 | マクラーレン | メルセデス | 182 |
3 | フェラーリ | フェラーリ | 100 |
4 | トヨタ | トヨタ | 88 |
5 | ウィリアムズ | BMW | 66 |
6 | B.A.R | ホンダ | 38 |
7 | レッドブル | コスワース | 34 |
8 | ザウバー | ペトロナス | 20 |
9 | ジョーダン | トヨタ | 12 |
10 | ミナルディ | コスワース | 7 |
この年は長らく4強であったマクラーレン、フェラーリ、ルノー、ウィリアムズにトヨタが割って入りました。さて、上位5チームの総得点を全ポイントで割ってみましょう。上位5チームのポイント独占率は85%です。この年は入賞が8位までです。上位5チーム10台のマシンのうち、3台が脱落しないとBARホンダ以下のチームがポイントを取ることはできないわけですから、ポイントを取ることはとても大変でした。
さて、今年の4戦終了時のリザルトです。
Rank | Team | Engine | Point |
1 | レッドブル | ルノー | 148 |
2 | マクラーレン | メルセデス | 105 |
3 | フェラーリ | フェラーリ | 65 |
4 | ルノー | ルノー | 42 |
5 | メルセデス | メルセデス | 26 |
6 | ザウバー | フェラーリ | 8 |
7 | トロ・ロッソ | フェラーリ | 6 |
8 | フォース・インディア | メルセデス | 4 |
なんと、上位5チームのポイント独占率は95.5%です。つまり、中堅チームにとってポイントをとることは「とても大変」から「めちゃめちゃ大変」になりました。仮に2005年とポイント制が同じだったとしたら、5強以外でポイントを取ったのは可夢威が2ポイントとブエミが1ポイントだけだったことになりますから、これはポイント制度が変更されるのもやむなしです。いやあ、大変です。
さらに言えば、中堅チームが稼いだ18点のうち、8点は可夢威のポイント(ミハエルより多い!)なのですから、今シーズンの可夢威がいかにずば抜けたリザルトを残しているのかということがわかります。もはや、今のF1は最後まで走りきれば誰にでもポイントが期待できるレースではじぇんじぇんないということでした。もうちょっと壊れたり、荒れたりしないと中堅チームのがんばりどころがなくてちょっとつまらないですね。
さて、次戦はスペイン。アロンソが地元でどのような活躍をするか。そして、ここのところブエミに押され気味のアルグエルスアリががんばるのか。どんなレースになるんでしょうか。
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