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破壊する創造者/フランク・ライアン

先日、「生命と非生命のあいだ」を読んで「ウイルスは生物だ」ときっぱり宣言してあって面白かったんですが、その流れで今度はウイルスの本を読みました。

この本はウイルス、それも宿主のゲノムに入り込んでしまうレトロウイルスについての本です。

ダーウィンを発祥とする進化論において、大事な概念は「突然変異」と「自然淘汰」です。この2つから得られる重要な概念は、進化に目的はないということです。突然変異は多くはその固体に不利益になる形で生じますが、まれに環境により適用する突然変異が発生し、それが進化を少しずつ進めます。

しかし、これは典型的な進化論批判ですが、本当にそんな少しずつの変化でこんな多彩な生物たちが生まれるのか。まあ、生まれるんですが、それでもそこには偶然に伴う突然変異だけではない、遺伝子を抜本的に変えてしまうようなそんなメカニズムがある。それがウイルスであるという話です。人間のゲノムがすべて解析されて10年になりますが、ゲノムを解析して一番驚きだったことは、ゲノムのほとんどが遺伝子(=たんぱく質をコードする塩基配列)ではなかったということ。ではそのほかの部分は何をしているのか。その多くの部分がウイルス期限であり、そして、その何をしているかわからない部分が実は重要な役割を負っている。そんな話です。

この話はまた、進化発生学(EVODEV)にも繋がってくるんですね。以前読んだ「シマウマの縞 蝶の模様」はその話で、これまた大変興味深かったです。

もうひとつ、この本が特徴的なのは、この分野の研究者が書いていて、3割ぐらい自分の研究日誌的なもの(誰々に会いに行った、シンポジウムを主催した・・・など)が混ざってくるのが面白いです。まだ教科書的な視点だけでは書けないということなのか、この著者のキャラクターなのかわかりませんが、珍しいですね。

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