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ここがウィネトカなら、きみはジュディ/大森望(編)

SFM創刊50周年アンソロジーの一冊。この「時間SF編」を大森望さんが担当して、他に「宇宙SF編」「未来SF編」が出版されてます。

大森さんはこの他に、ゼロ年代日本SF傑作編を2冊、そして「NOVA3」と立て続けに出してますね。読みきれません。

さて、全体的な感想として翻訳モノの時間SF、それも舌の肥えたSF読みに向けたセレクションとなるとどうしても話が観念的になる方向にあって、読み終えてのカタルシスはちょっと薄めですが、しぶーい日本茶を上等の茶碗でいただいたようなじっくりとした甘味が舌の上に残る良書です。ま、SFを普段読まない人は読まないほうがいいでしょう(笑)。

では収録作の感想を。

商人と錬金術師の門/テッド・チャン

寡作の代表、チャン。ネタはアラビアンナイト。時間を越えることができる門の話。この門の設定がちゃんとしているという意味でSFかもしれませんが、ま、ファンタジーと思って読んでも問題なし。チャンらしいしっかりとした構造の物語で美味。

限りなき夏/クリストファー・プリースト

「双生児」も文学的格調が高いくせにSF心満載でセンテンスは心地よく読めるけど、トータルで難解という感じでしたが、この短編もよく似てます。書かれている場面は格調高く美しい。仕掛けもたっぷりSFでロマンスも十分。でも、ストーリーが説明できません(笑)

彼らの生涯の最愛の時/イワン・ワトスン&ロベルト・クアリア

一人が時間を逆行しているので、年の差が逆転するという、互い違いの年の差カップルのお話。ある意味純情なお話で、今回の収録作の中で私はこれが一番好きです。

去りにし日々の光/ぼぶ

光の速度が遅くなるスローガラスというSFネタをすごく素直に使った切ない一遍。このネタはもっとハードSF寄りのネタにもできると思うんですが、こういうのも悪くないです。

時の鳥/ジョージ・アレック・エフィンジャー

タイムトラベルもの。しかし、過去に行くとことはいったいどういうことなのかという観念的な話。よくわかんない・・・

世界の終わりを見にいったとき/ロバート・シルヴァーバーグ

みんなが観光ツアーとして世界の終わりを観に行ったときの話を口々に語るが・・・。えーっと、この話ってオチてますか?

昨日は月曜日だった/シオドア・スタージョン

月曜日の次に間違って水曜日に行ってしまう話なんだけど、苦情を申し立ててどうにかしてもらうあたりがすでに時間SFじゃない気がします。

旅人の憩い/デイヴィット・I・マッスン

場所によって段階的に時間の経過速度が異なるという設定に、時間の流れが遅い場所で戦争が行われ、そこから休暇で時間経過が速い場所へ移動するという舞台設定を組み合わせた話。この組み立てにより生み出される独特の切なさが優れてます

いまひとだびの/H・ビーム・バイパー

素朴なリプレイもの・・・というか、大森さんが発掘して探り当てたリプレイものの元祖ということらしいです。

12:01 PM/リチャード・A・ルポフ

時間ループもの。素朴な閉じ込められた男。このあたりの、「元祖はこれだ」シリーズはためにはなるけど、まあ、それほど面白くはなかったり。まあ、せっかくの傑作選なのでこういうのも必要かなと。

しばし、天の祝福から遠ざかり・・・/ソムトウ・スチャリトクル

今度は高次知性体によって全人類が意識がありつつ強制的に同じ一日を繰り返させられる話。うーん、短編なので設定だけで面白くなるところまでいってないような気がします。アイデアは面白いと思うんですけど、それも2011年の目でみたらどうかなって感じ

夕方、はやく/イアン・ワトスン

なぜか文明が毎朝1000年近く戻り、1日かけて現代レベルになる話。夕方ぐらいになると、やっと車が出現する。なんだかさっぱりわからないし、面白いのかもよくわかんない。まあ、ふり幅のはしっことしての収録?

ここがウィネトカなら、きみはジュディ/F・M・バズビイ

 

表題作。人生の部分部分を生きている男の話。ある周期で人生の違う時期へ飛んでしまう。目が覚めて、寝ていた場所を知ってそのときの妻は誰だったかわかるというのがタイトルの意味。これも「リプレイ」のようなロマンスものになるんだけど、それまでの設定をひっくり返すようなオチがちょっと・・・

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