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おせち

結婚してから正月に実家に帰ることがなくなったので、母親の作ったおせちを食べることがなくなりました。

妻の実家も子供が巣立ってからはおせちを作るのを止めてしまったとのことで、買ってきたおせちセットと、おせちと言うよりは「お正月料理」と呼ぶのがふさわしいようなホームパーティー的な料理で迎えてもらっています。

しかし、こういうとウチの母親はあまりいい顔をしないかも知れませんが、私の食べ慣れたおせちはそういう「ハレ」の料理ではなく、もっと慎ましやかなものだったように思います。黒豆を煮るのは数日がかりですし、他にも手間はかかっていたことは間違いないのですが、いわゆる「豪華さ」というのは普段の食事に比べても、それほど無かった気がするのです。

たくさん炊いて近所に配っていた黒豆があって、栗きんとんがあって、ごまめがあって、数の子があって、焼いたブリと甘く煮染めた海老があって、なますがあり、昆布巻きがあってお重の一段。もう一段は椎茸、小芋、結び蒟蒻、花を象った金時人参の煮染めがたっぷりと、たたきごぼうなんかが入ってます。

大晦日の夜から煮染めをつまみにしながらお酒を飲み、年が変わるころに蕎麦をいただき、元旦、目が醒めてからお雑煮を吸いながら、ブリを一切れづつとってまた酒を飲みつつ、だらだらと正月番組を見る。

今思えば、やっぱりそこで食べていたおせちは美味しくて、私の正月気分と密接に結びついているものです。無いと物足りない。そして、昔のお重を思い出してみれば、今の料理の腕前ならば全部を揃えるのは大変でも、一つを取り出せば問題なく作れるものばかりです。(豆をふっくら炊くのはちょっと厳しいかな)

なら、作らない理由もないわけで、母親が元気なうちに教わっておかないとなあ。

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