教養としての世界宗教事件史/島田 裕巳
以前読んだこの著者の「日本の10大新宗教」が大変ためになったので、新刊で平積みになっていたこの本を手に取ってみました。こちらは、世界史上で契機となった宗教が関係する出来事をトピックとして並べたもので、どちらかというと切り口を変えた世界史の教科書のようなものです。とはいえ、私は世界史はルネサンスから第一次世界大戦までしか学んでませんので大変参考になりました。
ちなみに、ウチの高校は変わっていて、高校1年生で地理、2年生で日本史、世界史を一部分だけ勉強して、文理分かれた高校3年生で選択した教科を最後までやるという方式になってます。一応、全部勉強するべきだろうという方針なんですね。まあ、教育大附属なので社会科の実習授業がやりやすいからという理由も大きいでしょうけど。
で、日本史は幕末から。世界史はルネサンスからです。たしか世界史のノートの1ページ目は「トルデシリャス条約」だったような気がします。
さて、目次はこんな感じ
- 人類はいったいいつ宗教をもったのか
- 壁画が物語る宗教の発生
- 謎に満ちた巨大ピラミッドの建設
- ゾロアスター教が後世に多大な影響を与える
- 一神教が誕生し、偶像崇拝が禁止される
- 老子、釈迦になる
- 結集から、仏教の歩みがはじまる
- パウロとアウグスティヌスの回心が、キリスト教という宗教を生む
- 三蔵法師、天竺を旅する
- ムハンマド、メディナに逃れる
- 東西の教会が分裂する
- 十字軍が招集され、「聖戦」をめぐる対立の発端となる
- モンゴルの世界征服が原理主義を生む
- インドで仏教が消滅する
- ルターの異議申し立てが資本主義を生む
- ヘンリー八世の離婚問題がイギリス国教会を独立させる
- 地動説を主張したガリレオ・ガリレイが異端審問で終身刑を科せられる
- 清教徒、新大陸にエクソダスを果たす
- 聖母マリア、出現
- 神の死を背景に宗教学が誕生する
- ダライ・ラマ十四世、チベットを脱出しインドに亡命する
- 100年ぶりに開かれた第二バチカン公会議が修道女を解放する
- 毛沢東語録をふりかざす紅衛兵が孔子を厳しく糾弾する
- イランのイスラム革命が世界を変える
なかなかマニアックになりきらないバランスの取れたチョイスです。文章も平易で眠くならずにすっと読めます。良書でしょう。高校時代に理系選択だった人にお勧めします
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