劇場版"文学少女"
Production I.G.でアニメ化、それも劇場と聞いたときは不安がよぎりました。もともと原作アリの劇場映画ってすごく難しいわけです。2時間の映画で伝えられるストーリーはとても短い。上下巻のノベルズの「空の境界」はマトモにやり過ぎて全7作。「涼宮ハルヒの消失」も2時間を大きく越えて、原作1巻分を初見の観客を振り切って作成されてます。
ラノベでも1巻が応募作で後に人気シリーズになったなんてパターンだと1巻だけで充分に物語に結実感があるので大丈夫ですが、1巻の感想でも書きましたが、この話は1巻では主人公の物語が全然語られません。主人公心葉の物語はかなり後の5巻目、遠子の物語は7巻、8巻の上下巻。この劇場版は5巻をベースに、心葉が美羽と決着して遠子を選ぶストーリーに改変されてます。5巻のプラネタリウムのシーンも、アニメではまったく関わってこない流人と千愛の物語も入り交じってかなり複雑なんですが、アニメではさらっとしています。というか、まあ、映画だとこのあたりが限界。かなり上手い処理だと思います。
演出はかなり凝っていて、作品世界にピッタリ。心葉と遠子の別れのシーンで、ホームに電車が入ってくると思わせて汽車が入線し、そのまま「銀河鉄道の夜」の世界に雪崩れ込む現実と空想が入り交じる感じは、アニメの良さを上手く活かした素晴らしい演出でした。まあ、正直、ここでキスしちゃって、そのままラストシーンまで会わない2人ってのも意味がわからないんですが(笑)、しょーがないよね。
あと、今をときめく平野綾と水樹奈々が殴りあうアニメとしても注目です(笑)。オーディオコメンタリーで平野さんが「今、この時期にこういう役をやれたことはよかった」というようなことを言ってましたが、やー、ダークな役やっても上手いですわ。
ともかく、原作ファンには動くキャラ達を見せて、はじめてのお客さんには美しく幻想的な青春群像を見せて(これみたら、原作読みたくなっちゃうよね!)と、どちらも大事にしたレベルの高い作品でした。観て損はないことを保証しますよ
ただねー、ストーリーの話になると原作でもそうなんだけど、心葉がダメ男過ぎる。話がシンプルになった分だけ、よけい酷い。Web上の感想でも「この主人公、20分で女3人乗り換えたぞ」と書かれたりしてましたが(笑)、もっとちゃんとしてください。
そして・・・まあ、言わなくても判るよね。ななせが足りないよ!原作をこの頃には既にななせセントリックで読んでいた私にとって、5巻以降は「ななせはラスボス美羽から(殴り合いの結果)心葉の彼女の座を勝ち取った。しかし、真のボス遠子が現れた。やめて!ななせのHPはもう0よ!」というストーリーなんですが、美羽を遠子が倒してそのまま心葉も持っていったという話になっちゃたよ!
まあ、OVAも遠子版、美羽版、ななせ版と3つ出るそうなので、ななせ版を楽しみに待つことにします。
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