銃・病原菌・鉄/ジャレド・ダイヤモンド
有名な本ですが読んでいなかったので、いまさら。筆者は医学者らしいのですが、様々な科学の観点から、人類文明が発展した場所と、そうでない場所の差がなぜ生まれたのかをまとめた本です。
結論から言えば、全ては食料生産、つまり農業がカギを握っています。社会科で習う4大文明も全てが農耕が始まった場所でした。じゃあ、具体的に文明が発展したところはどういう条件が揃っていたのでしょうか。ポイントは、栽培種にしやすい農作物と家畜化しやすい大型哺乳類がいたかどうかだとこの本では書いてあります。
この家畜がいたかというのが大きなポイントで、
- 家畜を労務させること(畑を耕したり、物資を運搬したり)で食料生産効率を上げることが出来る
- 家畜から人間に感染するようになった疫病に対して、免疫を持つことができる
という大きな効果があります。特にこの免疫については大きな差で、文明間の接触で相手に免疫がない病原菌を持っているかどうかは非常に重大な影響をもたらします。南北アメリカの先住民の人口の95%がヨーロッパからもたらされた病気によって減少したという推測もあるそうです。なにそれこわい。
では、南北アメリカ、オーストラリア、アフリカではなぜ家畜化が進まなかったかというと、アメリカとオーストラリアでは人類が到達した時には既に高い狩猟能力を持っていたため、全部食っちまって絶滅させたと。うはっ(笑)。そして、野生の王国アフリカの大型哺乳類は気が荒くて家畜化出来ないんだそうです。なるほど、確かにシマウマに乗って現れる原住民とかいないわ・・・
その他、いろいろと興味深い記述がたくさんあります。地球上の動植物がこんなに多彩なのに、人間が栽培しているものが遙かに少ない種類であることや、言語学から人類の進出状況を推測していくことなどなど。ただし、本筋の周りにいろんな話があるので長くて盛りだくさんです。新書ぐらいで読みたいかも
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