シアター!/有川浩
「図書館戦争」のアニメ化をきっかけに声優さんの出演する小劇場のお芝居を観に行った有川さんが触発されて書いた小演劇内幕もの。
しっかり者の兄にとって、薄ぼんやりで青春の延長で劇団を主宰し、何かといえば泣きついてくる弟は、可愛いながらも悩みの種。弟から借金の相談をされて、ついに黙っていられなくなり弟の劇団に関わってみれば、弟の作家としての才能は評価を受けており、役者陣も各々思惑の違いこそあれ真面目なメンツ。講演ごとの集客も決して悪くないし、役者としての成長を望んだ人気声優も入団したところ。
優しいお兄ちゃんは、「なんでこれで儲からないんだ・・・えーい、俺に貸せっ!」とばかりに劇団プロデューサーになってしまいます。果たして、劇団は鬼プロデューサーの元、借金を返済できるのでしょうか。
というあらすじを書けば、全体のストーリーはもうわかったも同然ですから、後はどれだけ小演劇という世界と登場人物たちが魅力的に書けているかなんですけど、信頼の有川印。楽しさは保証されたようなものです。ちょっとパンチに欠けるきらいはありますが、有川さんは「社会と大人」のかっこよさを上手く書く人だなあと感心しました。
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