第9地区
この映画、内外のSF者がこぞって絶賛してます。2年前のSF大会で、みんな「ダークナイト」の話をしてるのに自分は見てなくて残念な思いをしました。なので、今回は見られるうちに見ておきたいと張り切って出かけました。
いや、すごい映画でした。すごかったし、面白かったけど、ちょっとキツかった・・・。グロいとこもあるので、そういうの苦手な人、オコチャマは注意で。
yahoo! 映画のあらすじを転載
ある日、ほかの惑星から正体不明の難民を乗せた謎の宇宙船が、突如南アフリカ上空に姿を現す。攻撃もしてこない彼らと人間は、共同生活をすることになる。 彼らが最初に出現してから28年後、共同居住地区である第9区のスラム化により、超国家機関MNUは難民の強制収容所移住計画を立てるのだが……。
先の展開が判っちゃうと面白くないので、ネタバレはしません。是非、是非観てください。
映画は冒頭、強制移住プロジェクトのドキュメンタリータッチで描かれます。設定が抜群に上手いんですが、それがドキュメンタリーの形で提示されるので、物凄い納得感です。
学者風の人が説明します。「宇宙船が来ました。衰弱した何十万ものエビっぽい宇宙人が乗っていました。しょうがないので、制限区域を作ってそこに住まわせました。あっという間にスラム化しました」
ま、そらそうなるわな!
これが世界一治安の悪い都市、ヨハネスブルグに来るってのも絶妙。もともとがアブなすぎて、難民宇宙人が入ってさらに治安が悪くなってもリアリティが失われないんですな(笑)
当然、アパルトヘイトを意識した設定です。安寧な戦後の日本でぬくぬく育った私は、アパルトヘイトは知識として「ひどいこと」と認識しているわけです。が、じゃあ、黒人じゃなくて、エビ宇宙人(FF XIプレイヤー的には、エビというよりはアンティカです。アレに似てる。)ならどうなんでしょう。すっごいビミョウ。
- 知性は高い
- 話は通じない
- 気持ち悪い
- 粗暴でキケン
- 間違いなく人間じゃない
さあ、キミはコイツら差別せずにいられますか。隣に住んでても平気ですか。難しーい。この主人公の小役人が形だけの同意書を取り付けて無理矢理に強制移住させて、途中で宇宙人の卵を見つけて「焼いちゃえ」とか言ってるのを観て物凄い不快感があるんですが、一方で、強制移住に反対して、「エイリアンの人権を守れー」とかデモってる人達にも強烈に違和感。うーむ・・・
そして、小役人のヴィカスくんはあることがきっかけでこの一方的な権益を追われ、宇宙人と同じ、あるいはそれ以下の地位へ転がり落ちていくんですが、それは観てのお楽しみ。楽しくないシーンもかなりありますけどねー・・・。ラストも安易なハッピーエンドには陥らず、味わい深いものでした。
SF者的にも、宇宙人の設定や、宇宙人テクノロジーのインターフェース、宇宙船動力であり浴びるとえらいことになる謎の液体の設定、巨大宇宙船に、手頃な宇宙船にモビルスーツ(というよりパワードスーツ)と見どころも盛りだくさん。
正直DVDだと途中が辛くて止めちゃうかもしれないので(笑)、劇場で観るのを勧めます。お早めにどうぞ
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