Twitter社会論/津田大介
今月の文化系トークラジオLifeのテーマはこれってことで、予習です。それにしてもLifeでの津田さんの絶妙のユーモアはすばらしいですよね。「赤坂ロストジェネレーションズ」には腹がよじれるほど笑いました。
Twitterについて、最近、ひろゆきさんが「あんなの発明でもなんでもない」って言ってるそうですが、実は同感なんですよね。当初のTwitterって、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いでメジャーになりつつあったけど実績がなかったRuby on Railsでの大規模サイト構築事例として有名だったぐらいですから。で、ぶっちゃけしょっちゅう落ちていてどうなのよ?みたいな(笑)
Twitterのアーキテクチャ自体はとてもシンプルで、発想としては誰でも得られるモノです。ただし、これをリアルタイムのサービスとして実装して運用するってことの困難さはまた別です。が、それを作れるエンジニアがEvanだけかといったらそんなことはないし、Railsのパワーをすごく活かしているアプリかというと、そんなこともない。
じゃあ、津田さんをTwitterにハマらせて、一冊の本まで書かせてしまう力はどこにあるのかというと、実はそれはTwitterの中にはなくて(笑)、Twitterをどう使うか、Twitterにどのようなプロトコルを乗せて使うかを観察して、分類して、活用している津田大介の中にあるわけです。巻末の勝間和代さんとの対談で、勝間さんが「ネットに慣れてる人じゃないとダメじゃないの?」ってのは確かにその通り。で、私もTwitterは自分のライフスタイルのどこに位置づけると便利なツールなのか、未だに測り兼ねてる感じです。
津田さんはこの本の中でTwitterの活用法を
- ライフログ
- 時事モノ
- ネタ披露
- 実況
- 告知
に分類してます。1が本来のTwitterの想定された使い方ですが、ぶっちゃけ、普通の人のライフログ見せられてもつまらないです。2と3と5はブログがある人はそっちでもいいでしょう・・・というか、140字制限は普通の人には厳しすぎるので、ブログでPVが取れるならそっちの方がいい気がします。RSSで十分リーチしますし。ただ、ブログのコメント欄やトラックバックが上手く機能していない昨今、議論にはTwitterは向いてる気がします。そうすると、4がやはり特徴的で、これに対してわざわざ「tsudaる」という名前が付いたのも納得できます。
となると、ブログで面白いことが書けない人で、イベントなどへ出かけて行かない人は、あまりTwitterを積極的に利用していかないんじゃないかと思います。また勝間さんの話ですが、「Twitterをバリバリ使いこなしたかったら、とりあえずblog書いたら?」というのは非常に的を射た指摘なんですよね。
と、ここまでがTwitterの標準機能の話です。私はTwitterの上に位置情報やハッシュタグでのfollow以外のつながりが有り得るのは非常に面白いと思います。ただ、まあ、2chにスレ立ててもいいかもって気がしなくもないですが・・・。GPSのある座標にtweetが留まり続けるような仕組みはおもしろいと思います。ハッシュタグは面白いとは思うのですが・・・もうちょっと運用を考えないとあっという間にタグが枯渇しそうな気がします。なので、以前にも「twitterはなぜつまんないのか」というエントリーでも書きましたが、素のTwitterを誰かが上手く使いこなして、そしてその目的専用にプロトコルが組み直された"Twitter 2.0"的なモノが本命になるような気がするんです。津田さんと勝間さんの対談の最後で語られている「目からウロコのアイデア」が出た時に、Twitterは本当の誕生となるんでしょう。
で、その頃に「いや、Twitterってもともと、ただライフログ的な地味なアプリでさー」みたいな昔語りを、今、fj.*について語るように語ってる自分の姿が目に浮かぶようです(笑)
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