沈黙のフライバイ/野尻抱介
「ロケットガール」の野尻抱介さんの短編集。ワールドコンでこの中に収録されている「大風呂敷と蜘蛛の糸」の話を聞いたのがちょうど2年前でした。あー、これの話だったんですね<とっとと読みなさいよ
野尻さんは、日本の宇宙科学者とも深い親交がある人なので、最近の話題が良く出てきます。
表題作「沈黙のフライバイ」では先日、このブログでも「宇宙暮らしのススメ」を紹介した野田司令こと野田篤司さんが本職の衛星技術者としてモデルで登場します。この話は松浦さんの解説によれば、実際に野田さんから聞いたアイデアを元に書いてあるそうです。実際に野田さんがしゃべっているのを何度かロフトプラスワンなどで観ている私には、この登場人物がいかにも野田さんぽくて可笑しかったです。アイデアの秀逸さもさることながら、それをこういう話に仕立てるのは上手いと思います。面白かった。
また、先に話がでた「大風呂敷と蜘蛛の糸」は、ある意味、「飛ばないで浮いていくロケットガール」。野尻さんの書く女の子は可愛いですね。普通に考えたら気球に乗って宇宙服を着て宇宙ギリギリまで出て行くなんて怖いと思うんですが、この肝の据わりきったアッカラカンとした感じがステキです。宇宙に行けるなら死んでもいいとは全然思っていないんですが、でも、覚悟は出来ているよというか。格好いいですね。
次は「太陽の簒奪者」を読まないとなー
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