破を観てきました(ネタバレほぼ無し)
「序」は素晴らしいことは判っていても凄くないことも判っていたので劇場には行きませんでした。重箱の隅を突っつくのはDVDが出てからゆっくり出来ましたし。
しかし、この「破」はそうはいきません。みんながネットに上げる感想を避けてまわるのも面倒です。が、混み混みの劇場で観るのも落ち着かない。そんなわけで、公開1週間後の金曜夜のレイトショーで観てきました。
もともと、テレビ版のエヴァは途中入り組んではいますが、大きく4つのパートに分けられます。
- 大怪獣活劇(代表的には6話)
- 楽しいキャラアニメ(代表的には9話、13話)
- 90年代的カタストロフアニメ(代表的には19話)
- キャラクターの存在意義を問うメタアニメ(代表的には20話や25話)
3番目の名前がしっくり来ないけど、「ぜーレの陰謀」とか「人類補完計画」とかそーゆーオカルトっぽい話の奴です。
で、一般にパロディなんかでよく使われるのは2番目で観たことがない人のイメージに一番近いのはコレでしょう。3番目がみんながのめり込んだエヴァです。そして、エヴァを社会現象までにした要素は確実に4番目。
2と3のつなぎ目、3と4のつなぎ目はかなり曖昧ですが(まあ、25,26話は4だけになっちゃうのでそこは判りやすいですが)、1は6話まででくっきりと区切られてます。6話はある意味、「エヴァI」の最終回です。
「序」はその6話までを使って、今後ベースにしていく方法論やスタイルを構築した作品でした。当時の絵コンテや原画を使用して2007年の技術で再構築するとどうなるかがメインです。特にDVDのメイキング映像を観るとびっくりなんですが、同じ絵コンテという素材をここまで出来るのかを見せつけられました。ただ、その物語から受ける印象は基本的にテレビのエヴァと同じです。
「破」は2番目と3番目が取り上げられてます。4番目の要素は最小限に抑えられています。また、テレビ版との大きな差として、今回は碇シンジの物語になっています。テレビではアスカ、ミサトも主人公扱いでした(レイはまたちょっと違う扱いですな)が、今回はアスカやレイは「シンジを取り巻く人達」として描かれていて、その内面的な葛藤は主題とされていません。
したがって、ストーリーとしてはものすごく判りやすいですし、そもそもテレビ版のエヴァのメタアニメ要素がキライだった人にとってはおそらく「あの頃に観たかったエヴァ」にもっとも近いものになっていると思います。逆に、私の様に「それ以外の部分も好きだけど、真にエヴァが凄かったのはメタアニメ部分だ」と思っている人にとっては何か物足りないものになっていて、例えば、東浩紀さんがブログで
ぼくはそこで、この作品を評価すべきだと思う、そして実際に評価する論理も作ることができる、しかしその欲望がわかない、というとても矛盾した感情を覚えたのです。評価するべきかどうかという判断とは別に、心がどこかで醒め強ばってしまい、動かないのです。
(中略)
ただひとつだけ言えば、それは結局、ぼくがこの新エヴァに、映像密度への驚嘆や批評的再構成への感嘆と反比例するかのように、「アツさ」や「ヤバさ」をまっ たく感じ取れなかった、ということを意味するのだと思います。これはぼくのきわめて個人的な感想ですが、とにかくそうなのです。
と書いている理由は、今回の「破」ではエヴァの狂った部分であるメタアニメ部分がほとんどなかったからなんじゃないかと思います。
ただ、そうはいっても別に狂ったトコだけが好きなわけじゃないですから、それはもう楽しみました。言いたいことはイッパイあります。ので、それはネタバレ感想として別に書きます。
が、ひとつだけここであえてネタバレ要素を。ラストシーンのカヲルは台詞で「今回は」と言っています。つまり、このカヲルは「前回」を知っている・・・もうわかるな?
次の「急」あるいは「Q」が、まさに俺たちの観たいエヴァかもしれません。そういう意味では、楽しいエヴァはここまでかもしれないんだぜ?(笑)
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