ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 (ネタバレあり)
さて、ネタバレしまくります。別にまとまった論にするつもりもなく、思いついたことをだらだらとあげていくので、既に観た方だけお付き合い下さい。
オープニングからいきなり5号機がばりばりと活躍します。しかし、まさか「エヴァタンク」だとは思いませんでした(笑)。でも、坑道での戦闘で暗くてよく判らないんですよね。新キャラのマリの紹介シーンになっているワケですが、正直、このマリってキャラはよくわかりません。東浩紀さんが「決断主義的な、要は西尾維新キャラ」と言ってますが、なるほどって感じです。ただ、ストーリーにも絡まないんだよなあ、コイツ(笑)。彼女は彼女で何か目的があって行動しているらしいんですが、んなもん、この怒濤の展開の前にはまったく語られることなく終わっても不思議はないワケで、ちょっと不憫です。カワイイのに。
アバンが終わって、タイトルの後は母親の墓参りシーン。このシーンが象徴的だと思うんですが、構図も台詞もテレビとほとんど変わってないんですが、演出が全然違います。噛み合ってます。テレビだとゲンドウとシンジ、レイとシンジ、アスカとシンジは噛み合ったり、噛み合わなかったり、近づいたり離れたりをストーリーの流れとは寄り添わずに繰り返すのでなんだか非常にきもちわるーいんですが、「破」ではそれがすべて1本の流れになっているで、ゲンドウとシンジも
- 墓参りでゲンドウの内面に少し触れる
- サハウィエル受け止め作戦で褒められる
- 3号機暴走事件で裏切られる
とちゃんと関係性が連続しているので観やすいですね。そして、この流れの中にゲンドウとシンジを近づけようとするレイ、そのレイの気持ちを知って助けようとするアスカの気持ちの変化が寄り添ってます。もうね、普通に考えたら演出的にはテレビ版より
100倍素晴らしい
んだけど、これを「ふつーでつまんなーい」とか思っちゃうのはよっぽどエヴァに毒されてる証拠(笑)。今後はこの新劇場版がエヴァのスタンダードになるはずだし、まあ、いいんじゃないかなと。
で、こうなっちゃうとレイとアスカがえらく可愛いんだな、これが。テレビ版のレイは、6話の笑顔は何だったの?というようにシンジとまともに相対せず、そのクセに突然シンジの為に自爆したりして、「こいつ、人間としておかしいんじゃねえの?」と思ったら、その後、設定的にも
きっぱりとおかしい奴だということが判る
という何とも感情移入不能なキャラです。だから、正直言って、「綾波レイが好き」っていう人の気持ちはよくわからないんですよね。庵野さんもあんまりレイに興味はないように思えるし。
ところが、「破」のレイは可愛い。ちゃんと「序」のラストから連続しているし、シンジの料理を食べて、「私も食べさせたい」「ゲンドウもいっしょに食べたらいいに違いない」と幼稚園児並の短絡思考で行動する精神的な未熟ぶりも微笑ましい。そんなわけでレイの演出は格段に良くなっていましたが、テレビと違うキャラといえばそうですな。ただ、本来はこうしたかったのかもしれないとか思ったり。「ポカポカする」はらしいといえばらしい・・・けど、皆さんどうすか、アレは。
違うキャラと言えば、名前から変わっちゃったアスカ。でも、逆にアスカの方が違和感を感じませんでした。こんな「惣流・アスカ・ラングレー」も有り得たと思わせます。「破」では、アスカの内面を書く余裕がないということで変わりに3号機パイロットの役が与えられたわけですが、アスカにとってそれが良かったのかどうなのか・・・。まあ、廃墟で裸で廃人になっているところを保護されるよりはマシ・・・かなあ。
さて、使徒さんたちはもう格段にグレードアップしてました。どれもこれもなんだか頭が痛くなるようなぶっとんだビジュアルで、エヴァ以来の10年のヘンテコ敵役さんたちをすべて平凡の一言で貶めるような勢いです。どれが何番目の使徒でどんなやつかというのは、BDがでたらゆっくりと観たいと思います。戦闘シーンは、エヴァが地上を走るところも含めてどれも感嘆の溜息しかでないです。どれもこれもホントに素晴らしい。「こうだったら格好いいだろう」「そりゃこういう演出になってるべきだろう」という引き出しの多さには本当に感動します。2時間の映画でどれだけ今後パクられるだろうビジュアルが含まれていたか。凄すぎます。もちろん、また例によっていろんなものを下敷きにしてるんでしょうが(そういえば、浄水施設でのクラゲはポニョオマージュ?)、そういう答え合わせも楽しみですね。
あとは、また綾波レイで歌わされためぐさん。しかも、まさかの2曲。大変ですなあ・・・。まあ、今回の綾波レイは童謡なら歌っても不思議はないキャラだったかもしれないけど、「翼をください」のサビが苦しそうで・・・そりゃ、レイの声じゃ歌いづらいでしょう。庵野監督、酷い。そして、あえてあのシーンに「今日の日はさようなら」だし。悪趣味だなあ・・・褒めてますけど(笑)
そして、あのラストシーンは・・・もうなんだかテンション高くてわけわかんないけど、そういう乗り切り方もありだよね!・・・と思ってたらカヲルが水を差す。そして「今回はシンジだけは幸せに」って今回!?いきなりここから「得意のメタ視点」なの?(笑)。まあ、せっかく同人アニメに戻って、こんな普通のアニメにしてもしょうがないでしょう。「破」でふつーのお客さんの観たいものは十分に見せたんだから、「急」あるいは「Q」では十分にイカレたストーリーとイカシた実験アニメを待ってますぜ。期待して劇場へ見に来たふつーのお客さんを絶望のズンドコに叩き落とすようなキチガイアニメになるといいなあ。だから、予告で元気な姿が見られて喜んでいる「アスカスキー」な皆様、あれが、生き残った式波・アスカ・ラングレーだと思ったら大間違いかも知れませんぜ?
といったところで、次回までたっぷり2,3年は待つことになるんでしょうから、それまで十分にしゃぶり尽くしましょうかね。その価値は十分にありそうな噛みごたえ。
あと、これは余談なんですが、今年は「破」があり、押井さんが「宮本武蔵」をやってて、「エウレカセブン」があって、「サマーウォーズ」があって、「マクロスF」があって、「東のエデン」と劇場アニメ大作の本数が普通じゃありません。で、去年は「ポニョ」と「スカイクロラ」があったし、今年も相変わらず深夜アニメは山ほどあるというなかで、アニメーターさんは大丈夫なんでしょうか?「破」のエンドロールの作画陣が超豪華ラインナップでびっくりでしたが、ホントにみなさん休みなく働いているんでしょうかね。クオリティの事を考えると、ちょっと作りすぎなんじゃないのかなあと、余計な心配をしてしまいます。
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