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「1Q84」が売り切れている

私もそれなりに本を読む人ですが、「新作がでたら単行本を即買いする」ような作家はそんなに多くありません。私にとって、村上春樹は数少ない「即買い作家」の一人です。そういう人は多数いると思いますし、日本の文芸にある程度の興味がある人ならば、村上春樹の新作が出たらとりあえず読むのは当たり前だと考えてます。

とはいうものの

どういうことですか?この「1Q84」のバカ売れっぷりは!

そもそも、知ってました?村上春樹の新作がでることを。

私は仲俣暁生さんのブログを観て知りこのブログにも書いてますが、他のところで宣伝などは一切目にしてません。「海辺のカフカ」の時には書店にPOPぐらいは出ていたり、中吊り広告があったりしたような覚えがあるのですが、今回は全く。

先週の金曜日に浜松駅の小さな本屋さんで平積みされていて、「ああ、出たんだね」と思ってBOOK1だけを買いました。しかし、BOOK1をその日のうちに読み切れるとは思えなかったので、BOOK2はその場では買いませんでした。村上春樹の新作ですからね。どんな小さな書店でも入荷してるでしょうから、その気になればいつでも買えるでしょうし。

土日で楽しく読み終わり、さてBOOK2をと思って近所の本屋さんに行ったら、無い。浜松の駅ビルに最近できた大きな本屋さんでも売り切れ。Amazonにももちろんない。

どして?

BOOK1は、どこをとっても村上春樹で、それも「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の幻想的なシリアスさと「ダンス・ダンス・ダンス」のポップな寂寥感をあわせて持っているような(あえて言えば、青豆が「世界の終わり~」で、天吾が「ダンス・ダンス・ダンス」かなあ)感じです。さらに、そこには美少女文学賞作家やカルト信仰集団がいて、今までの村上春樹作品に比べて世界の組み立ての材料にワザと現実に近いものを入れてとっかかり易いようにしてくれています。くり出される比喩も巧さは失わずに華美では無くなっていて、いわば比喩の巧さと同じレベルに全ての文がたどり着いてしまったような、考えつくされた文章に唸らざるを得ない素晴らしい出来です。内容についてはまた改めて書きたいと思いますが、小説の技法としては日本語の小説がここまで到達できるのかというようなレベルで、美しいメロディを聴いたときのように、読みながら恍惚としてしまうような本です。

・・・が読者のそんな評判が伝わる前ですよね、この売り切れぶりは。

うーむ・・・。聞けば40万部とかがハケちゃってるようです。40万という数は「みんな読んでるよ」という数には到底及ばないですが(実感としては、500万ぐらい必要だと思います)、この日本で定常的に読書する人間ってそれこそ100万人ぐらいしかいないと思うので(笑)、驚くべきことです。100万部売るということは、「今年読んだ本がこの本だけ」というような読者をたくさん掴むということだと思うのですが、素晴らしい小説で村上春樹作品としてはかなり間口の広さを意識して書かれていると思われるとはいえ、エンターテイメント小説とはほど遠いこの本がそんなに売れるなんて・・・。ハリー・ポッター最終巻の初週売上が119万部だったそうなので、その1/3ですからね。物凄いことです。

んー、誰がどうして買っているんでしょう?


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