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松井教授の東大駒場講義録/松井孝典

東大の地球惑星物理の松井先生が、2005年に駒場で、つまり東大の教養過程の授業として行った「惑星地球科学II」の講義録です。

私は理学部物理学科の出身ですが、私の出た大学の物理学科は当時、正式には「物理学・宇宙地球科学科」と言っていて、研究室もいわゆる物理学のグループと宇宙天文学や惑星科学のグループに分かれてました。そんなわけで1,2回生の頃は惑星科学の授業も多少齧ったので懐かしく読みました。

それにしても、そんな私ですら東大の松井先生と聞いてすぐに惑星科学の先生だとわかるわけではないんですから、この本のタイトルはどうなんでしょう?普通に「惑星地球科学入門 -松井教授の東大駒場講義録」でいいと思うんですが。最近の新書のタイトルはおかしいですね。

やはり、岩石をはじめとした地学分野の内容が多いんですが、太陽系、惑星系、生物圏そして知的文明とスケールを変えながらそれを作った物理学的な条件は何だったのか、どのようなシステム(系)が形作られていて、それはどのようにして始まりどのように終わるのかなど、教養の授業にふさわしい幅の広い内容です。これを興味深く思わない物理の学生は速いところ経済学部かなにかに転部したほうがいいし、幅広い内容ながらそこには物理学的な考え方が随所に含まれていて、物理屋ってのは世の中をこういう様に捕らえているというのがよくわかる、大変すぐれた講義だと思います。

それに、この分野の研究はNASAのマーズ・パスファインダー、マーズ・エクスプロレーション・ローバーなどの探査によるここ10年の発見から多くの知見を得ているわけで、私が大学生だった頃とも状況は随分と変わっています。ときどき、こういう理系の大学生の一般教養向けレベルで最新の研究について啓蒙してくれる本があると素晴らしいですね。できれば、講義もyoutubeなんかで聞けるようになるとすばらしいんですけど。

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