シリコンバレーから将棋を観る/梅田望夫
「ウェブ進化論」の梅田望夫さんは立て続けにIT社会についての本を出した後、抜け殻宣言をして充電するので執筆は控えると言っていたのですが、その間に以前からの将棋Loveが燃焼。Webでリアルタイム観戦記更新などを行ってました。
そんな梅田さんが、この1年の活動のまとめとして出したのがこの本です。やはり、仕事と愛とは全然違うもので、何冊か梅田さんの書いた本を読みましたが、この本が間違いなく一番面白いです。「ウェブ進化論」の感想で「梅田さんはあまり文章が面白くない」と書きましたがそれは大変な誤解で、将棋について書いているときの梅田望夫の文章はたまらなく面白いです。
私は駒の動かし方を知っているだけで、居飛車・振り飛車だの穴熊・矢倉だの言われてもなんとなく想像は付くけど駒のならびはさっぱりわからないという程度の、将棋については素人以下です。そんな私がドキワクで一気に読み終えました。確かにわからないなりに日曜の昼に将棋番組の解説をぼーっとみていると意外と面白かったりするものですが、それにしても、将棋の対局は誰が書いても面白いという素材だとは思えません。そこに梅田さんの頭の中に収められている棋士の背景や、対極の伏線、そして、その場の空気を感じ取る力や人脈などすべてが反映されているからこその名観戦記です
だいたい、どんなものでもその筋のマニアの横でウンチクを聴きながら見るのが一番楽しいのです。F1も、私は20年分のウンチクを抱えて観てるから面白いのであって、何も知らない人が同じところを車がぐるぐる回るのを観ても面白いはずがありません。
もし、このレベルの観戦記(将棋をそれ単体として観るのではなく、棋士の性格、世代論、将棋界の潮流その他もろもろ含んだもの)を毎号読めるのならば、私はぜひ将棋雑誌を購読したいです。私のレベルならリアルタイム性はまったく必要ないですし。そして、例えばそれで1年ほど雑誌を買い続けていれば自然と将棋を観戦するに問題ないレベルの知識は備わってくると思います。どんな分野でも、その分野の雑誌を1年読み続ければそうなることを経験的に知ってます。
しかしなあ・・・。なかなか難しいといえば難しいことです。将棋に詳しい方に是非この本を見ていただいて、タイトル戦を楽しく観るにはこのぐらいを知っておけばいいというあたりを私に教えてもらえたら嬉しいんですけど。
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 誰が勇者を殺したか 勇者の章/駄犬(2025.06.05)
- 仏教は、いかにして多様化したか/佐々木閑(2025.05.11)
- どこまでやったらクビになるか/大内伸哉(2025.05.10)
- 酒を主食とする人々/高野秀行(2025.04.19)
Comments
ハワイからタイトルホイホイされますた。
指名されてるような気がw
これは面白そうなので是非読んでみます。
梅田さんが竜王戦の観戦記を書くためにパリへ行ったり、羽生さんと対談したりしてるのはマニアはそれなりに知ってて、逆に何者か知らない人が多いので枕詞に「web進化論で有名な」とかがついてたりします。
将棋界も特殊な世界なので面白い人が多いですよー。
とりあえず現在進行形で渡辺竜王のblogと奥様のblogはかなり面白いのでお勧めしときます。特に奥様のは過去ログまで見ることをお勧めしますw
http://blog.goo.ne.jp/kishi-akira/
http://inaw.exblog.jp/
Posted by: かに | May 04, 2009 01:07 PM