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扉を開けて/新井素子

Ruby 1.9.1リリースというRuby界では大きな変革をうけて、るびまに「日本Rubyの会」の高橋会長が熱い巻頭言を出してます。新井素子の「扉を開けて」の内容を引用して、前に進むことの大事さをうったえています。熱いです。

その熱さに胸打たれて、私もRuby1.9.1をインストール・・・するんじゃなくて、「扉を開けて」を読んでしまいました。すんません。

実は新井素子を読むのは初めてだったりします。

1980年にコバルト文庫で出た本なので、文体やら雰囲気やらはアレな感じです。でも、この感じキライじゃないです。小学生の時に普通に読んでましたしね、コバルト文庫。昔から、少女マンガを買うのも抵抗無かったんです。

そのアレな感じも楽しみつつ、中身は真っ当な異世界ファンタジー。今書くと、この話も典型的イケメン揃いとかになっちゃうのかもしれませんが、その辺りも常識的で恋愛要素もあまりなく(せっかくプレイボーイ設定なのに)、後味もあんまりよくありません。今なら編集者が×だしそうだなあ・・・。でも、返ってそれが好印象。

テーマは、停滞した世界や抑圧された個性に対してもっと自由になろうという話なんですが、それも時代を感じるなあと思ってしまいます。ゼロ年代的には「個性なんて持ってねえよ。自己責任って俺たちのことを投げ出すなよ」ですからね。当時、この話がどのように受け入れられたのかはわかりませんが、この話が前向きなメッセージを持っていたんだろうということはわかります。しかも、この話の最後は少し後味が悪いんですが、その後味の悪さが今の時代の暗さに繋がっているのではないか。自由を得た中の国の人達が、だんだんと無法をしていっているのが、今の我々の姿なんじゃないのかと思うと示唆的ですらあります。

なーんてことをすっとばしても、楽しくおいしく読める一冊です。まあ、コバルト文庫ですからさくっと読めないとね。新装版は表紙が羽海野チカなのもポイントアップ。なんか森見登見彦の「夜は短し 歩けよ乙女」でも羽海野チカを見かけました。最近、遭遇率が高いですね。

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