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アレグリアとは仕事ができない/津村記久子

芥川賞おめでとうございます。というわけで、受賞記念に一冊津村さんの本を買ってみました。

アレグリアというのは、コピー機の製品名。雑誌に載ったときにはこの話、「コピー機が憎い」だったそうですが、そのタイトルなら買わないな(笑)

建築関係の会社へ転職してきて2年のいわゆる「事務のお姉さん」な主人公と先輩OLの二人は新しく入った複合機のアレグリアに手こずらされてます。少々のクセのある機械ならなんとか折り合いが付けられるし、使っているうちに機械に不思議な愛着すら湧いてくるし、そんな自分にある種の誇りをもっている主人公にとって、1分コピーとして動くと2分ウォームアップになってしまうアレグリアは単なる「怠惰」にしか見えません。そして、そのことを誰に訴えていいのか。先輩は自分ほどアレグリアに怒りを覚えてはいない様子。サービスセンターの受付には完全にクレーマー扱い。サービス担当員には見下された態度を取られます。そして、難しい使い方をする男性社員の前では華麗に舞い、単純なコピーはサボるアレグリア。

さて、主人公からはそんな風に見えていた周囲の人ですが、徐々に愚図なアレグリアに巻き込まれてその人間関係があぶりだされていき・・・そしてついに。

この主人公が、まあ、可愛くないOL(笑)。ほんとのところ、こんなモンなんだろうと思いますけど、まあ、可愛くない。で、私は仕事上、どちらかというと文句を言われて呼びつけられる方なんで、サービス員の「コピー機を使わない女と付き合いたい」ってのはよくわかる(笑)。文句を言う方の気持ちももちろんわかるんですけどね。でも、じっとりと溜めてる先輩の方が付き合うとめんどくさいんでしょうね。最後はちょっとスッキリする、妙な読了感でした。

さて、芥川賞ももらって、今後はもっとエンターテイメントの方へ突っ走ってみても良いんじゃないでしょうか。この人のユーモアセンスが、もっと大全開になったところを観てみたい気がしました。

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