神のみぞ知るセカイ/若木 民喜
かなり話題になってます。
世界設定は情けないまでにありがち。空から美少女が落ちてきて、どういうわけか(1)な主人公が(2)しないと世界が滅びるというので、しぶしぶ主人公はそれに巻き込まれるという話。(1)と(2)をいろいろ入れ替えると死ぬほど「類似品にご注意」な感じです。まあ、ぶっちゃけセカイ系。タイトルに「セカイ」って入っちゃってるし(笑)
ただ、この話の捻ってある部分は
(1) ギャルゲーの攻略が天才的なゲーマーが
(2) ホンモノの女の子を落とす
というところ。で、この主人公はギャルゲーにしか興味がなく「現実の女は完成度が低い」「リセット不可かよ。現実ってどんなクソゲーだよ」といいつつ、現実の女の子を口説きます。で、あるところで「エンディングまでのルートが見えた」と言い放つと(笑)
まず、このマンガが「俺らギャルゲーでは女の子キャラを口説けるけど、リアルではヘッポコだよなー」という中二病まるだしの男子のルサンチマンを刺激していることは間違いありません。なんとなく痛快で、バカバカしくて笑っちゃいます。しかし、それはそれとして、今の世の中だと意外とこのマンガの通り、ギャルゲーと同じようにリアルの女の子も口説けちゃうんじゃないかとも思うわけです。そこに漂う、嘘だけとは言い切れない「微妙な」感じがこの作品を非凡なものにしています。それは、たぶん5年前、例えば「涼宮ハルヒ以前」では成立しなかった感覚だと思うのです。
というのも、恋愛というのは二人の間で共同幻想を共有することです。せーので二人同時に幼稚化することなわけです。しかし、ギャルゲーをプレイするのは98%までが男性でしょうから、ギャルゲーが持っているしょーもない幻想は全く女性に共有して貰えるハズがないわけです。「きもっ」って言われてエンド(笑)。ところが、ときメモの発売から15年。ある程度はギャルゲーの持つ概念が一般化し、今や世間の方へ浸みだしてしまっています。
だって、「ツンデレ」なんて言葉が流行るのはそういうことですよね。もともとこの言葉は、ギャルゲーで女の子キャラ達を「分類」する為に生まれた用語です。だって、毎月毎月、何十というギャルゲー、エロゲーの類がでるわけです。企画する方だって、毎度毎度キャラを深く掘り下げてられません。それでなくてもユーザーの好みにあわせて十人以上のキャラを作るわけです。とりあえず、企画書の段階では
- お嬢様
- スポーツ女子
- 幼なじみ
- ロリ妹キャラ
- 無口キャラ
- 委員長
- メガネっ娘
と、頭だけで考えちゃうわけです。その中の一つが「ツンデレ」なわけです。
まあ、ギャルゲーなんてさっぱりやらないよというという人でも、近頃のマンガやアニメに接しているならば「ツインテールのメガネの委員長キャラ(髪は赤)」が出てくるとなれば、バカバカしいながらも類型的な展開やシチュエーションのひとつやふたつ思いついちゃいますよね。女の子にも、ぼちぼち影響しています。だとすれば、もう共同幻想たり得るわけです。「私、カレの前ではツンデレなの」なんて言い放つステキな女性だっているでしょうと(笑)。恋愛なんてそんなもんですからね。
こういうのを白痴白馬の王子様を待ってる女性はまったく笑えません。というか、こういう妄想のバリエーションのレベルはそもそも女の子の専売特許みたいなところがあったわけですが、今や男の子の方が完全に凌駕してしまっているわけです。「恋愛は共同幻想だ」ということに気がついていた20年前の男の子は、こっそり少女マンガを読んで女の子の持つ幻想を理解しようとして(ついうっかり、自分もハマったりして)いたわけですが、いまや、逆転しました。
もっとも、この手の男の子の妄想は、いうまでもなくエロに直結してますけどね。というか、無理にエロに直結させない理由は(流通の問題もありますけど^^;)「女の子にもわかって欲しい」ってことなのかもしれません。まあ、村上春樹さんも「男の人とうまくやっていく三つの方法。まず、第一に彼の性的妄想を理解することです。第二に彼の社会的妄想を理解することです。第三に彼の個人的、片隅的な妄想を理解することです」と言っています。女の子は、是非、エロの部分も含めて妄想を理解してあげて・・・というか、「エロは込み」ってことを理解してあげてください(笑)
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