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ベルカ、吠えないのか?/古川 日出男

変わった作家ですねえ。古川日出夫さんの小説を読むのは、「アラビアの夜の種族」「サマーバケーションEP」に続いて3冊目です。

第二次大戦末期、撤退する日本軍に置き去りにされた軍用犬たち。その犬たちとその子孫がたどる数奇な運命を軸にして、戦後史をつかみ取ろうとする大胆な試みがされてます。歴史小説で登場人物はすべて実在の人物だけど(狂言廻し役の)主人公だけが架空の人物というパターンはよくあると思いますが、その主人公役が軍用犬になっているわけです。

もちろん、ただの目新しさだけでそうなっているわけではなくて、軍用犬を主人公にすることにより、犬たちはどんどん繁殖し、数を増やし、人の住むところ、そして、戦争のある至る所(アラスカ、ハワイ、ベトナム、アフガン、ソ連)に広がります。そのことが、戦後史を冷戦を軸に捕らえる視点を強化しているし、また、人間の行いをすこしだけ違った側面から見ることにも成功しています。

それにしても、これも独特の文体。前に読んだ「アラビアの~」も「サマー~」もそれぞれに変わった文体でしたけど、これもえらく変わってます。それに、前の2冊にはない勢いを感じるんですよね。削り取り方が荒々しいというか。面白いかと言われれば、ちょっくら微妙な小説なんですけど、間違いなくすごい小説ではあります。もちろん、例によってドラマツルギーや起承転結や上手な伏線なんかには縁がないんで、「なんじゃこりゃ」っていう人も沢山いるとは思いますが。

さて、次は何を読めばいいのかな。とりあえず、次の文庫落ちを待っておきましょうか

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