スーパーアグリ撤退
スーパーアグリ F1撤退を発表(FMotorsports F1 @nifty)
スーパーアグリF1チーム(SAF1)は、本日、F1世界選手権から撤退することを決定した。2006年からプライベーターチームとしてF1に参戦し、昨 年はチーム結成22戦目(スペインGP)で初ポイントを獲得、2007年のランキング9位という成績を残したSAF1のF1における活動は本日、その幕を 閉じることになる
非常に残念です。F1チームにはレギュレーションで全戦参加の義務がありますから、次のトルコGPを欠場することによりスーパーアグリには莫大な違約金が発生することになり、チームは致命的なダメージを負うことになります。つまり、このチームは、もうおしまいということです。来年、再チャレンジなんてことは、よっぽどの事がないかぎりあり得ない。
鈴木亜久里代表とチームは本当によく頑張ったと思います。批判する余地は一切ありません。素晴らしい偉業でした。現代のF1で個人の名前を冠したチームを率いることは「不可能」と「とても困難」の中間ぐらいに位置することだと思います。こう言ってはなんですが、アラン・プロストにも、ジャッキー・スチュワートにも出来なかったことですし、エディー・ジョーダンも、ジャンカルロ・ミナルディも、ペーター・ザウバーも、今では家でテレビでF1を観ています。ましてや、1からF1チームを作るなんて、近年で言えばトヨタ以外やってないわけです。デビット・リチャーズですら出来なかったわけです。
惜しむらくは、シーズン途中での撤退という事態だけは避けたかったですね。これでFIAに納める何億円ものお金はまったく価値を生み出さないお金ですから。
では、チームに支援をすると言っておきながら手のひらを翻したマグマとドバイの石油王が悪いのかといえば、ここもまったく責められないと思います。F1の運営はFIAの気まぐれとFOCA(はもうないんだっけ?)の金儲け至上主義とコンコルド協定という密約の元、明確なルールや民主的なプロセス無しに行われています。スーパーアグリがF1に参加できたのも、元F1ドライバーである鈴木亜久里の人望と人脈があってこそで、具体的にどうすれば参戦できるのかはどこにも決まった規定はなく、まずそれを詰めるための契約書は何百枚にもなり、しかも、コンコルド協定上、全会一致が原則のため1チームでも「亜久里きちゃいや」と言えば参戦できないという酷い世界。そんな世界にまともな神経があったら100億円の投資なんてするわけがないです。
とにかくF1はものすごく閉鎖的な世界。頑張って高いお金を出して開発した新兵器も、政治力がなければあっさりとレギュレーションで禁止されて水の泡。レースも同様。去年のハンガリーを思い出してください。あのマクラーレンの内輪揉めが、FIAのちょっかいでペナルティになっていなかったら去年のチャンピオンは・・・。また、F1ドライバーになるにはどうしたらいいのかも決まってません。いくら速くても、下のカテゴリーで実績を積んでも、それだけではF1ドライバーになれるかどうかはまったくわからないのに、F3経験すらないドライバーが参戦し(て、後にチャンピオンになっ)たり。
20年近くF1を観てきて今でもF1は大好きですが、そろそろもっと民主的なプロセスで運営するように変化していかなければいけないんじゃないでしょうか。そうでなければ、規模の小さいチームがいつも割を食いF1の活力が自動車メーカー中心になって、結局は健全なレーシングの維持に影響するという、他のカテゴリーで散々見てきた結果になってしまうのではないか、そう思います。
そして、日本人ファンもそろそろF1を見限って、自分たちが自分たちで作ったモータースポーツに徐々に力点を移していくべきかもしれません。トヨタ、ホンダ、ニッサンの3大メーカーをはじめとして、三菱、富士重、マツダなどモータースポーツに多大な貢献をしたメーカーがひしめく日本だからこそやれることがもっとあるはずです。なんせ奴らは「ヨーロッパで夜中に生放送されても眠いから」という理由でオーストラリアGPをナイトレースにしろと難癖つけてくる連中です。ヨーロッパでもっと車を売りたいトヨタとホンダの思惑はもちろん構いません。でも、日本のモータースポーツファンは、もっと自分たちで自分たちの自動車レースのことを考えていくべき時が着たんじゃないでしょうか
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