ウチのシステムはなぜ使えない/岡嶋裕史
情報システムを構築しようとしている顧客企業担当者に向けて、IT業界の人の生態を紹介して、彼らとうまくつきあうにはどうしたらいいかを説く本です。例えば、いわゆるSEとプログラマが違う職種だということを知らないひとは多いですからね。読んで参考にしてもらえれば・・・が、こりゃ私が読んでも面白いな。
とにかく、抜粋。運用系ってこんな人
特にインターネットが登場して以来、365日24時間稼働といった、いじめとしか思えないようなシステムが増えているので、システム障害が起これば運用系要員はたとえ午前4時であっても出勤することになる。怒られるために。
プログラマとコーダって違うの?
両者を厳密に区別している職場で、プログラマに「コーダさん」などと話しかけると、速やかにその場の気温が5度下がる。
SEさんてどんな仕事?
一般的には35歳ぐらいまでに次のステップ(職種)に進まないと、業界内における存在が危ぶまれるといわれている。その「35歳SE定年説」は、加齢とともに新しい技術知識を習得する速度や能力が鈍磨するから、と解釈されているが、むしろ徹夜に対する耐性が下落することの影響が大である。
システム営業ってどんな人?こんな人
いわゆるシステム営業、テクニカルソリューションアドバイザなどの肩書きを持つ人々である。まあ、要するに「技術をかじった営業」とか、「人見知りしないSE」程度の意味である。
オペレータさんてどんな仕事?
本書は主に顧客の立場でSEとつきあう方法を論考する書物であるが、間違って将来オペレータを志望する人が手に取っている可能性を考えて警告する。志望する会社に小綺麗な仮眠室や遊戯室、シャワールームが完備されているからといって、感動したり感謝したりしてはいけない。つまり、家に帰れない会社だということである。
オペレータにもっと光を。もっと給与と有給休暇を。
心が、心が痛い。でも、腹筋も痛い(笑)
まだ、第1部「SEという人々」までしか読んでませんが、第1部の最後はこうまとめられてました。
本書で想定している主読者である顧客の方は、IT企業の構成員たちはこんなに壊れているのか、と不安に思われたかもしれない。実際にはこれ以上に壊れているので、本書は準備運動のお手伝いをしている程度である。
だが、彼らは壊れてはいるものの基本的には善良であり、付き合い方さえ間違わなければ得難いビジネスパートナーになってくれるだろう。
コワレモノ注意でございますよ。
いやあ、普段、我々が接することが多いお客様は大抵がその企業での情報システム部門の人なので、同類というか、こういうことをご存じないわけではないですが、たまーにいわゆるエンドユーザー(最終的にシステムを使う人)と話をしたりすると、SEってなんだかわからない人はまだまだいるわけで。そういう方に読んでもらうと、我々への見方が変わるかも。良くも悪くも
つか、とりあえず、ウチの親に読ませよう(笑)
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