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フリーターとニートについてそろそろ言っておくか

下手したら世界で何番目かに従業員が多い会社で働いているTambourineです

そういう意味でこのテーマで文章を書くのは実はあんまりふさわしくないんですけど、どうも議論の前提を間違っている人がたくさんいる気がするのでそれだけを書いておきたい

まず、フリーターやニートが増えている問題ですが、この対処として「フリーターやニートを減らそうとする政策は基本的に間違った方向です。社会構造の変革の方向性として、フリーターやニートはこれから増える一方だからです。

それはなぜか

簡単です。仕事がないからです。では、だれが仕事を奪ったのか。団塊の世代か。バブル世代か。中国とインドか

いえ、IT革命です

そういう意味では、我々が日々やっている仕事こそが原因なわけです。スマン(笑)

つまり、技術革新によって人間は・・・というか少なくとも日本は、全人口を食わし社会活動を営むために労働人口の大半が働くという前提が崩れるぐらいに効率化したわけです。もちろんその業務の効率化という傾向はずっと続いていたと思うんですが、バブル崩壊以後の不況が後押しした業務の効率化やIT革命がその方向を一気に推し進めました。経済的に苦しかった時代に従業員を減らし、新卒採用をストップして耐えたことによって、みんな気がついてしまったんです。

ああ、もう人を雇わなくてもやっていけるんだと

もちろん、業界によって差があります。まだまだコンピューターにやらせられない仕事や、どんなにがんばってもコンピューターのできない仕事があります。しかし、想像してみてください。90年代以前、まだ、オフィスにパソコンがなかった時代に、いったい、仕事と称してみんなが何をしていたのか。その時代に私はまだ働いていなかったわけですが、想像はたやすいです。

文字を書き写して、電卓を叩いて、いっぱい電話をしていたわけです。たぶん

おそらく、コピペして表計算でマクロ書いて同報メールすれば、仕事にかかる時間はもう1/10になっているんじゃないでしょうか。そりゃ、従業員も減るってもんです。だからこそ数十万もするパソコンをオフィスに入れたんでしょう?

ここまでの話を整理すると、要するに

「日本はすべての人が働かなくても、うまくやっていけるぐらいに進歩した」

ということなんです。そして、世界と競争するためにまだ同じ方向でどんどん進歩しているのです。素晴らしいことです

フリーターやニートって、今後、増えるでしょうか、減るでしょうか。そんなの聞くまでもないことです。

この前提を無視して、「ニート自立支援」なんて言ってどうするんでしょう。社会システムと経済の流れを無視したってしょうがないんです。やってることは「ちょんまげ切ったお侍様に、どうやって商売してもらおうかのぅ」と大差ないのです。というか、ニートをみんな働かせよう、雇用を用意しようとしたらどうなるのか。もし、制度がそちらに舵を切れば、クビをきられるのは誰なのか。

「うちの息子が就職できなくてね。ニートっていうの?困るわぁ」。おばちゃん、本当に困るのは、あんたの旦那の仕事は、実はあんたの息子が半分の給料でできるってことなのよ?あんたの息子を就職させたいなら、会社は旦那をクビにしてあんたの息子ともう一人、どこかの人の息子を雇うことだってできて、実はそのほうが助かるのよ?

だって、仕事の本当に難しいところはコンピューターがやってるんだから

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Comments

どうかね。
そんだけかね?
人手、足りてないと思うよ。
コストダウンの名の下、足りない人員で死人がでるくらい働かされとるけど。
丁度非正規雇用が加速化したあたりから、その分の利益がまんま計上されて過去最高益になってじゃなかろうか。
色々事情はあるかと思うけど、ちゃんと給料やらんのも問題あるんじゃないでしょうか。
雇用者=消費者なんで、ここんとこの国内向けの商売は軒並み駄目ですよね。
昔はご飯屋さんやら小売屋さんやらで食えてた人達も、今はお客が金使わんからどんどん潰れてます=消費者も仕事も減ってます。
俺だってもうちょい金あったら欲しいもん買いまくります。
格差社会なんていわれるが、俺は格差は死ぬほどつけたっていいとおもうけど、最低以下を沢山つくり出す社会ってのは問題あると思うけどな。
いま儲かってるのは、外人相手にもの売ってるところだけでしょ。
新しい産業ってのは、政治が生み出してるわけじゃないんで政治で救えるのかどうかわかんねけど、既存の産業に代わる産業を育てて、そこに人と金が投入されるようになれば問題解決なのかな???

Posted by: タコチン | April 06, 2008 08:32 PM

今、現在の問題と、これからの方向性の問題を混ぜちゃいかんと思うのよ

> 人手、足りてないと思うよ

そりゃ産業別に不均衡はあると思うし

> コストダウンの名の下、足りない人員で死人がでるくらい働かされとるけど
> 丁度非正規雇用が加速化したあたりから、その分の利益がまんま計上されて過去最高益になってじゃなかろうか

これは言っちゃえば犯罪だし、こういう企業は傾向から言えば「正社員で残業漬けで殺されるなら、止めてフリーター」という流れを強くする方向に進めてると思うのね

で、日本には社会問題になるほどフリーターもニートもいるわけだから、制度的にちゃんとすれば労働力が足りないなんてあり得ないわけだ。だって、事務労働の生産性なんて20年前の何倍になったか考えるとすごいことになってるハズなんだもん

で、単純労働や大量生産が海外の安い労働力に流れてるってのも、そりゃ今現在の問題としては存在するし、そこは国がきっちりフォローすべきだと思うんだけど、このグローバル化の流れってもちろん後進国へも流れ込んでるわけだから、遅かれ早かれ賃金格差は小さくなる方向へ行くに決まってる。

もちろん、均衡化するまでのフォローは必要です。でも、流れから言えば絶対長続きしない経済構造ですわ

> 俺だってもうちょい金あったら欲しいもん買いまくります

そうなのかな。実は昔ほどみんなお金を欲しがってないと思います。そりゃ欲しいものないかって言われたらあるけど、薄型大画面テレビに、昔の三種の神器や3Cほどの魅力があるわけはない。死ぬほど働かされることに見合うものなんて、みんなないって気がついてきてるでしょう?だから、「若者は3年で辞める」わけですよ

> 新しい産業ってのは、政治が生み出してるわけじゃないんで政治で救えるのかどうかわかんねけど、既存の産業に代わる産業を育てて、そこに人と金が投入されるようになれば問題解決なのかな???

うん。もしかしたらこの話の結論はそこなのかもしれないんですよ。

人類は人類を食わすためだけに働く時代から、その力を何か別の方向へ向けるだけの余裕がある時代にきたかもしれないわけだ。その移行期にある種のひずみができるのは当然だよね

で、その余った人類の力をニコニコ動画の職人パワーではなく(笑)、なにか有益なところへ振り向けることができるかどうかがカギ。それを産業と経済の力に任せるのか、それとももっと違う形を取るのか・・・そこはすごく面白い話だと思うんです。

Posted by: Tambourine | April 07, 2008 12:24 AM

んー、なんかミクロな話とマクロな話がまぜこぜになっている気がする。

ニート自立支援とかの政策は税収と社会保障の両面があって、
前者はかなりマクロ的なものだと思うのよ。
でも、1企業の生産性という話になると、ミクロ的な見方になる。
(IT化で日本全体で効率化されたというのはマクロ的)

また、なぜ管理職が死ぬほどサービス残業しなければいけないかというと、
単的にいえば、フリーターでは生きていけないからなのよ。
これは経済的な面と社会保証の両面から。
だから簡単にフリーター増加へ流れるとは思えない。

僕の感覚からいうと、人は足りてないよ。
コンピューターができる仕事はコンピューターがやるけれど、
本当に難しい仕事は人でしかできてない。

Posted by: nac | April 07, 2008 08:15 PM

ここで話しているのは基本的には、マクロな話だけです。しかも、今、リアルに起こっている細かい問題は全部棚上げの議論です。

大きな流れとして「正社員じゃないと出来ない仕事」とたくさんの「フリーターでも出来る仕事」に世の中なってきた。で、後者を正社員にさせるように世の中の流れに逆らうような政策を進めても、たぶんそれは無駄な努力だろうということです。牛乳が30円値上がりしてぶーぶー言うような世の中じゃ、もう戻せません。

じゃあ、どんな世の中にすればいいんでしょうかねと

> また、なぜ管理職が死ぬほどサービス残業しなければいけないかというと、
> 単的にいえば、フリーターでは生きていけないからなのよ。
> これは経済的な面と社会保証の両面から。
> だから簡単にフリーター増加へ流れるとは思えない。

管理職はフリーターにならないと思いますが、そこそこの企業の課長さんの下は全部フリーターなんて世の中は有り得ると思います。人数比を考えれば、大多数がフリーターという世の中そのものです。つか、もうそんな業種いっぱいあるでしょうね

じゃあ、その課長さんはどこから沸いて出たんだと疑問が湧きますが、課長さん一人育てるのに何人雇って、残りのポストはどうするのか考えると、さてどうするでしょう。まあ、若いのいっぱい雇うという結論にはもう戻らないでしょうね。

> 本当に難しい仕事は人でしかできてない。

問題は、本当に難しい仕事はそんなにたくさんないってことと、本当に難しい仕事はちゃんとした人にしかできないってことです。

Posted by: Tambourine | April 07, 2008 09:34 PM

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