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自分探しが止まらない/速水健朗

「ロストジェネレーション」という言葉があります。一般に就職氷河期を経験した世代。75年生まれの私はそのど真ん中の世代と言うことになります。

この世代の特徴的は、やはり、就職活動期に自分の存在価値を強く意識させられたと言うことでしょう。就職活動中に、10社、20社、はては100社と就職試験と面接にふるい落とされ、自信を失うと同時に、篩い落とす方便だろうと思いながらも「自分の長所はなに?」「自分の夢はなに?」「自分のやりたいことはなに?」とずっと問いかけられる日々。そんな日々が1年も続けば、人格形成に影響を与えないはずがありません。

重圧にドロップアウトする人、否定される日々に別の承認を求めて宗教に走る人、自分が足りないと思いこみ埋めるための旅に出る人、人生の価値を重く捕らえすぎサラリーマンに没せなくなった人・・・働く口がない、食い扶持が稼げないという、単にそれだけではない影響を私たちの世代は受けている。その事は感覚的にはわかっています。そして、その事を73年生まれの著者はキチンとまとめて提出してくれました。

「自分探し」といわれると、なんだか青春の象徴みたいなそういう甘酸っぱい、おもはゆい、そういう言葉だと感じられると思います。でも、この世代にとっての「自分探し」は、即座に生存に直結するほどの重さを持っています。そりゃそうですよ、「自分探し」が足りなければ今からの30年の人生が貧困のどん底かもしれない、無価値になるかもしれない。そう繰り返し繰り返し叩き込まれれば、何か違う自分、可能性の中の有り得た自分への幻想が高くなるのは必然でしょう

そして、著者はその「自分探し」を食い物にする人にも言及しています。「自分探し」すらが消費の一形態になる。いや、むしろ消費スタイル自体で自分を表現するというスタイルが有り得る以上、当然かもしれないですが。

でも、まあ、我々の世代は実感としてわかってる話だから、この本を読むのは確認でしかないとも思います。この時代を経て、平成生まれ前後はどういう感性なのか、そのあたりも知りたいところですね。

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