ネガティブハッピー・チェーンソーエッジ
「アース」を観て、まだ時間が余ってたので2本目。またも消極的なセレクションだったんですが、アタリ引いたYO!
原作は「N.H.Kへようこそ」の滝本竜彦。本質的にオタクってある意味ミーハーであるべきだと思っている私は、「N.H.K」の自虐ひきこもりテンションにはあまり共感を持てない(んでちゃんと読んでない)んですが、「ネガティブハッピー」は、綿矢りさの「蹴りたい背中」の男性版のような、"黄ばんだ青春モノ"として好きな作品です。デビュー作ということで加わっているメジャー感とか、ポップさのようなものが好ましい方向にいってるて事なのかなあ。
ちなみに、滝本さん本人は長らくどんな人なんだろうと思っていたんですが、BSアニメ夜話のエヴァの回に出ていたのを観て、ひじょーにマズイ感じに見えました。いや、私からみて気持ち悪く見えるってのはよっぽどですよ(笑)
それはさておき
ストーリーはこんな感じかな。
落ちこぼれで自分の無力さや「何者でもなさ」にさいなまれている主人公。普段は冷静ながら気に入らないことに暴れちらせる性格でバイクの事故で死んだ友人と、まだ何者でもない自分との差に焦りを感じている。ある日、チェーンソーを持った死に神のような男と闘う美少女と出会う。彼女を守ることで自分の何者でもなさを解消できるのではないかと考えつきまとうが、超常的な力でチェーンソー男と闘う彼女の手助けなんて出来るわけもなく、ただまとわりつくだけ。しかし、次第に打ち解けていく二人。チェーンソー男を倒さないとこの世から悲しみは消えないという少女。しかし、チェーンソー男は次第に強さを増していく・・・
チェーンソー男の正体は、ネタバレになっちゃうので書けません・・・というか、物語中ではっきりと書かれるわけではないので、読んだ人が考えてねってことなんですが、単純に青少年の不安定な年頃を象徴していると考えても問題はないわけで、これはエヴァファンの滝本さんにとって「(自分の)世界を脅かすワケのわからないものと14歳で戦わなくてはいけない」というエヴァのモチーフと通じるものがあるんだと思います。
ストーリーもあるんだかないんだか、エンディングも終わったんだか終わってないんだか。最後にカタルシスの得られるような映画じゃない(とはいえ、私に言わせればそれでもかなり親切だと思う)んですが、思春期の抜け出せないもやもや感ってそういうもので、この話にはそういう「分析不能」な感覚をそのままぶつけたような生っぽさがあります。原作のそういう部分をうまく映像にしていて、かつ、映像の美しさ、スムーズな構成、気の利いたギャグ、音楽のセレクション、役者のへたっぴさ加減まで含めて、ああ、いい感じだなーと。あ、CM出身の監督さんなんですね。なるほど。市原監督。ちょっと注目しておきましょう。クライマックスの演奏シーンとバイクシーンはかなりいいです。でも、高校生が万引きして煙草ぷかぷか吸ってバイクで事故る映画なので、よく考えたらゴールデンでは放映できないよ?(笑)
それにしても、市原隼人、浅利陽介の二人はいい役者ですね。この先が楽しみです。後は、先生役の板尾さんがかなーりいい味。ラストの「俺はこんな黒いバイクは好きやない!」が笑えました。
いつロードショーが終わっても不思議でないほど映画館はガラガラです。興味がある方はお早めに。間違いなく1800円の価値はあるっしょ
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