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岡田斗司夫の遺言 第3章 そのさん

岡田さんの一人称を「俺」って書いちゃってるけど、昨日、Gyaoジョッキーを見てたら「僕」ですね。直そうかな・・・

休憩開けの雑談で、若い世代のお笑い芸人が 芸人間の評価を気にするようになった事と、 アニメ制作者がコアなファンや制作者同士の評価を 気にしている感性が似ているというような話題が ありました

ガイナックスの歴史(1989年)

電脳学園の発売により、会社の経営がやっと楽になった年。

第一次クーデター事件があり、宮崎勤事件があり、娘が出来た年でもある。

電脳学園

そもそもは、MacとHyper Cardで遊んでたところから始まる。簡単なゲームのようなものを作って喜んでいたところ、軍師赤井が「オーストラリア征服理論」を提唱した。

オーストラリアで一番強い動物はフクロオオカミだが、フクロオオカミは狼というよりは犬で、他の土地に連れて行けばさほど強い動物でもない。オーストラリアにトラでもライオンでも持ちこめばすぐに最強の生物になれる。

当時、パソコンアダルトソフトというオーストラリア大陸最強の生物は、「はっちゃけあやよさん」だった。

さすがに知りませんが、ググってみたら有名なソフトみたいです。

これなら勝てる。ガイナックスはアニメ業界ではまだまだ大手と渡り合うだけの力はないが、オーストラリアにいけば、最強だ。

なんせ、「はっちゃけあやよさん」が売れるということは、ゲームのおもしろさなんかより女の子の絵が可愛いならいいということ。 はっきり言って負ける気がしなかった。そりゃ、ガイナのアニメスタッフ総動員だから・・・。後で、「大人げない」って言われた

Wikipediaで調べてみたら、まだ入手可能なんですね、電脳学園。

左手仕事

「ビートショット」。とにかく見てもらわないとね・・・すごいよね、当時はこれでも許されたんだから(笑)。ちゃんと池沢さとしっぽいでしょ。この横顔は池沢先生に怒られたけど、でも、あのキャラの横顔ってこうなるんだよ

これは僕が持ち込んだ企画で、儲かる話を企んだのね。当時、あちらこちらのレンタルビデオ屋さんを観察したり、実際に店員さんに聞いたりしてわかったんだけど、当時のレンタルビデオ屋さんって映画マニアの店長の個人経営みたいなところが多かった。

でも、アニメなんて店長さんはわかんなくて、バイトの兄ちゃんが仕入れを決めてたりしたんだ。ということは、そのバイトの兄ちゃんが知ってる名前にしておけばレンタルビデオ屋に買ってもらえるわけだよ。見てもらえるかは別として。そして、バイトの兄ちゃんが一番読んでる雑誌が「プレイボーイ」だった。

中学生なりたてぐらいの頃にどきどきしながら買ってましたよ、「プレイボーイ」。あの頃は、「モデナの剣」ですら興奮して読んでました 

作ったのは「トップ」で知り合ったマジックバスって制作会社。丸投げ。「魔法のバスは企画書と1200万で試写会行き」と言ってた。その企画書も、マンガをホッチキスで留めて渡した。

社内で仕事してないアニメ班に企画書ぐらい作ってと頼んだら、そんなことになったんだそうで(笑)

こういうタイプの仕事を内部では「左手仕事」って呼んでた。要するに、本気じゃないってこと。仕方ないと思ってやってたけど、結構な数やったなあ。プロデューサーとして手を引くタイミングを間違った感はある。

宮崎勤事件

確実に、僕が作れなくなった原因のひとつ。

この事件があったときの、正直な気持ちは「バレた」だった。確かに、自分はコイツのような犯罪は犯さないかもしれない。娘がいる身として言えば子育てなんて戦いで、幼女にそんな感情持つ余裕ない。

ただし、自分が作っているもののファンが1万人いたら5人ぐらいはそういう奴が含まれているだろうってのも否定できない。それは薄々わかっていた。

しかし、周りの人が「あれは自分とは関係ない」と思うのか、誰も作れなくならなかったのもショックだった。

筒井康隆は偉かった。自分が書くものの影響で犯罪者が出たとしても、文学はそれだけの力があるものだと言い切った。でも、アニメではそんなことは言えない。筒井康隆は自分の作品に対して、「俺のものだ」と言えるかもしれないけど、アニメは共同作業で、一人の作家のものじゃない。

筒井さんみたいな人は同時代に3人ぐらいいればよくて、その他の人はエンターテイメントの分を弁える必要があるんだよ。

まだ続きます。



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