ウェブ炎上/荻上チキ
Podcastで「文化系トークラジオ Life」を聞くようになったというエントリを上げましたが、その時のゲストの荻上チキさんの本。我々が2000年代にネットで目撃してきた炎上事件についての丁寧な解説です。そこに書いてあることは大抵知っているといえば知っている範囲の事なんですが、こうやって丁寧にまとめられたモノを俯瞰で眺めると、久しぶりに「あいたっ、ネットやばいじゃん」というような感覚になってしまいます。
もちろん、今さらインターネットがない時代には戻れないのでそれにあった「法とリテラシー」が必要なのは間違いないと思っていたんですが、この本を読んでネット社会の特性や流れを眺めていると、我々の今使っている「法とリテラシー」が使い物にならないことはまだしも、人類が何千年も使ってきた「法とリテラシー」という枠組みそのものを変えなきゃいけないんじゃないかとすら思わされてしまいます。
今から何百年か後に、「21世紀初頭にネットが人間の生活に入り込んだが、文明社会がその枠組みに追いつくことが出来ず、それから無秩序状態の暗黒時代が続いた」なんて歴史書が書かれていても不思議じゃないよなあ・・・
我々の社会は、すでに「情報の伝達」とか「道徳」とか「法の執行」が危機にさらされているんですねえ。私はそれでも現実として落としどころはあると思っていますけど、それがはっきりとイメージとしては捕らえられません。なんか天才的な哲学者とかが出てこないとダメ?それこそ、何百年後の歴史書に出るような。うーむ・・・
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