エンディミオン/ダン・シモンズ
ハイペリオン4部作の3作目。今回はハイペリオンの最後の巡礼より何百年か立った後の世界。どういうわけか、聖十字架(寄生生命体)で復活したホイト神父が復活派(パクス)というキリスト教の宗派を立てて、人類のほとんどに聖十字架をつけて征服しているという世界。そこへ現れる「救世主」アイネイアーと、サイリナースから「いっちょ、英雄になって彼女を守って、ついでにパクスも倒してんか」と頼まれるロール・エンディミオンの物語です。
さて、「ハイペリオン」は数々のSFおよびそれ以外のエッセンスを寄せ鍋風にぶち込んだ一大エンターテイメント巨編だったわけですが、「エンディミオン」はその「ハイペリオン」で出された料理の中から、特にSF的に美味しかったもの(聖十字架、絨毯、シュライク、ティティス河と移送ゲート)を材料にして、また違ったコース料理を組み立てたようなそんなお話です。強引で元気いっぱいで可愛らしいアイネイアーと、ほとほと人がよくて貧乏くじを引かされまくるロールの二人のコンビは、まるで「涼宮ハルヒ」のハルヒとキョンみたいです。この二人が物語を走らせてくれるので「ハイペリオンの没落」よりはかなり読みやすい(そして、というとはA・ベティックが長門?(笑) )です。
しかし、「エンディミオン」は基本的にただ、星から星への川下りの旅なのでお話も単純。楽しく読めてサイコー。そして、この続編の「エンディミオンの覚醒」からは謎解きも始まるんでしょうし、どんどん複雑になっていくんでしょうなあ。楽しみだけど、まだ「覚醒」が上下700ページずつあるんだねえ。長いなー
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