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シマウマの縞 蝶の模様/ ショーン ・B・ キャロル

遺伝子が生命の設計図であるということは、まあ、常識としてみんな知ってますね。では、実際に遺伝子には何が書いてあるのでしょう。それは、どんなアミノ酸を繋げてタンパク質を作るかというコードです。生命は、遺伝子を一文字ずつ読んで、その通りにアミノ酸を並べてタンパク質を作るという仕組みだけで、すべてを作り出しているわけです。その後のことは作られたタンパク質がすべてうまくやってくれます。タンパク質万歳。

さて、では私の体の細胞が、組織ごとに違う仕事をしているのはなぜでしょう。それは組織ごとに違うタンパク質を作ったからです。タンパク質ばんざ・・・あれ?なぜ、同じ遺伝子を持った細胞なのに違うタンパク質を作っちゃったんでしょう。

それは、各組織の細胞ごとに読みとる遺伝子の場所が違うからです。遺伝子にここから読め!と印が付いているのです。その印はなにかって?遺伝子にくっつくタンパク質です。これをツールキットタンパク質と呼んでます。この本の表題のシマウマの縞の白い部分と黒い部分では、遺伝子に違うツールキットタンパク質が付いているので白くなったり、黒くなったりするわけです。しかし、ではなぜ白い部分には白くなるツールキットタンパク質があるんでしょう。もちろん、白くなるツールキットタンパク質を作る部分の遺伝子が読まれたからです。そして、そこに印を付けているツールキットタンパク質が作られているからです。では、そのツールキットタンパク質は・・・

というような感じで、この本ではまず生物の発生と組織分化の仕組みについて説明があり、その知見を元に生物の進化、特に形態の変化というものがどのような遺伝子の変化で起こるかについて論じて行きます。ここからがこの本の最もエキサイティングなトコロ。こんなに多種多様な生物のカタチはどの程度の遺伝子の変異で起こりうるのか。なぜ90%以上も遺伝子が共通である私とネズミの間にこんなにも大きな差があるのか。上記の仕組みについて、ある程度の知識があった私も目からウロコが落ちました。昆虫に触角を作ることを命じるツールキット遺伝子も、人間に手を生やす遺伝子も実はほとんど同じなんです!

分子生物学に馴染みがない人はちょっと読み進めるのに手こずるかもしれませんが、大丈夫。用語だけ整理して飲み込めばちゃんと理解できます。高校の生物を理解してる人なら苦もなく読めるレベルですが、あなたの進化に対する認識ががらっと変わるかも知れません。複雑な形態を持つようになった生物が、進化と適応の過程で何は容易に変えられ、何を変えるのは難しいのか。生命としての根本的な機能を損なうことなく、変わった形を突然変異によって生み出すことができるのはなぜなのか。

生命の進化に関する基本的な知見を21世紀版にアップデートしたい方は、是非、お読み下さいませ。

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Comments

(^-^)ノ 貸してくださいな。

Posted by: yuka | September 17, 2007 10:46 PM

はいな^^

Posted by: Tambourine | September 18, 2007 12:46 AM

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