重力ピエロ/伊坂幸太郎
ぶつ切りのエピソードが一つのストーリーを展開していく様子はなかなか感じがよくて、序盤は村上春樹の「風の歌を聴け」みたいだなーと思いながら気持ちよく読んでいたんですけど、途中からミステリー風になってきます。
とはいうものの、これはミステリーではないですね。ミステリーというにはあまりにも謎解き部分がお粗末です。作者の書きたいものはどうもそこにはないようです。心の闇を抱えた家族の物語が、主眼ですな。
軽妙な語り口で、かつ読ませるだけの筆力はあるので楽しく読了しました・・・が、結局、最後まで読んでみると、どうもテーマとこのスタイルがうまくかみ合ってないような機がします。ちぐはぐな印象が・・・結局、小さな話を積み重ねる形を取りながら、話が最後はまっすぐに真っ当な、臭わされてたものがモロにそのまま突き進むようなところへ行き着いちゃいます。
うーん、筆力は評価だけど、この設定でこの結論へ行って、それで何が現れるのか。75点というところですかね。
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